油の流出、専門部隊が指導

海上保安庁機動防除隊の指導でオイルフェンス設置を訓練する参加者ら

事故に備え、名瀬港で防除訓練
奄美群島排出油等防除協

 船舶の油流出を想定した防除訓練が10日、奄美市の名瀬港3号岸壁であった。海を汚す油や有害物質、危険物の流出に対応する唯一の専門部隊・海上保安庁機動防除隊が訓練を指導。参加者らは万が一の事故に備え、オイルフェンスの設置や資材の扱い方など、有事の対応方法を確認した。

 奄美海上保安部をはじめ、行政や民間企業など29機関で構成する「奄美群島排出油等防除協議会奄美支部」(会長・矢野秀樹奄美海上保安部長)が主催。石油製品販売事業者や漁協、発電所や消防など同協関係者54人が参加した。

 同機動防除隊は、神奈川県の横浜機動防除基地を拠点に1995年に発足。2020年7月モーリシャス沖の貨物船事故でも活躍するなど、現在16人が所属する海上防災のスペシャリスト。主任防除措置官の細川祐一隊長(37)は訓練冒頭、「事故の現場は常に変わる。ケースバイケース。状況に応じた展張(設置)ができるよう技術を学んでほしい」と呼び掛けた。

 訓練では、巡視船「かいもん」を事故船に見立て、長さ120㍍のオイルフェンスを使って設置を実践した。船舶班、操り出し側、受け手側の3班にわかれ、本物の資材で準備手順や役割を確認。船を囲んだ後は、油の吸着剤に関する講義も行った。

 細川隊長は「初めての作業にも関わらず展張を理解し動いていることが見てとれた」と総括。「事故は起こさないのが一番だが、作業は安全が大前提。きょう得た知識を生かして、作業にあたってほしい」などアドバイスした。