選手のケアをする尾堂さん
「甲子園という夢に向かって頑張っている選手たちを、最大限サポートしたい」。鹿児島市荒田の尾堂鍼灸整骨院院長・尾堂学さんは言う。第149回九州高校野球大会に出場している大島の選手たちが身体のメンテナンスのため、大会期間中定期的に通っている場所の一つ。9日に初の九州4強入りを成し遂げた大島の快進撃は、心身のメンテナンスをサポートしてきた人たちの存在も欠かせない要素だ。
尾堂さんはバイタルリアクトセラピーという治療法の専門家。コンピューター治療システムを用いて脳の機能や、脊髄、骨盤などのゆがみを正し、神経が正常に働くように促す。「身体の構造を整え、機能を正し、人間が本来持っている自然治癒力を高める」(尾堂さん)治療法を取り入れる。
19年2月から大島と縁ができ、大会や遠征で鹿児島滞在の際は、選手たちのケアを担当する。定期的に島にも足を運び、各選手の状態をチェックし、塗木哲哉監督とも情報を共有する。「継続して取り組むことで選手たちの身体に対するケアの意識が高まる」と尾堂さん。今大会の快挙はそういった部分まで含めた「彼らの努力のたまもの。治療家としてもいろんな勉強をさせてもらっています」と脱帽する。
休養日の10日は、午前中練習した後、選手たちが治療に訪れた。二塁手の有馬航大は興南戦の五回に左脛に死球を受けた。試合中は特に感じなかったが、試合後は痛みが出た。左足が曲げられず「試合に出られないかも」と不安になったが、直後に治療したことで、この日の練習にも問題なく参加できた。下半身が硬くなりがちなので、練習や試合前に尾堂さんから教わったストレッチをやるよう心掛けている。2日続けて治療を受けて、11日の有田工(佐賀2位)戦はより万全な状態で臨めそうだ。1年生ながら不動の1番打者であり「打撃ではとにかく塁に出て、守備でも積極的なプレーでチームを勢いづけたい」と張り切っていた。(政純一郎)