軽石被害で国に要望書

漂着軽石被害の支援を求める要望書提出を決めた市町村長会

各種協・漁業、観光業支援要請へ

奄美群島12市町村の首長らで構成する各種協議会が11日、奄美市名瀬の奄美観光ホテルであった。市町村長会では、奄美群島や沖縄の海岸や港湾などに漂着している大量の軽石について、船舶の運航や観光、水産業などに大きな支障が出ていることから、「住民生活に多大な影響を及ぼすことが想定される」などとして、被害に苦しむ漁業、観光業などの事業者支援や財政支援などを求める要望書を国土交通省など関係省庁と地元選出の国会議員らに提出することを決めた。要望書は、「奄美群島振興開発の推進に関する要望書」と一緒に、今月18日に市町村長会の代表らが直接提出する。

【奄美群島市町村長会】(会長=高岡秀規徳之島町長)12市町村の首長が出席。海底火山「福徳岡ノ場」の噴火により発生した軽石の漂着被害については、奄美群島の港湾や海岸など86カ所で漂着が確認されているなどと指摘。漁船の故障のほか、瀬戸内町では「フェリーかけろま」の欠航、与論島ではタンカーなどが接岸できず、島内のライフラインへの影響なども懸念されているという。

要望書では、こうした現状を報告した上で、▽同一港湾等での複数回の災害復旧事業の適用▽漁船の改修支援▽自治体の復旧対策等にかかる財政負担の軽減▽軽石に関する情報収集と提供―など計8項目について、市町村長会と市町村議会議長会の連名で要望する。

奄振に関する要望書は奄美群島の産業振興策などをまとめた「奄美群島成長戦略ビジョン」の実現に向け、産業基盤や社会資本の整備などを求めている。また、奄美大島と徳之島が7月、世界自然遺産に登録されたことを受け、▽世界自然遺産センターの施設整備の推進▽公共工事に積極的な環境配慮型工法の導入―などを要望している。

【奄美群島広域事務組合議会定例会】広域事務組合一般会計や奄美TIDAネシア基金特別会計、奄美パーク事業特別会計の2020年度歳入歳出決算と21年度補正予算など9議案を承認。同組合監査委員に鎌田愛人瀬戸内町長を再任、同教育長に村田達治奄美市教育長を選任した。

【奄美群島観光物産協会理事会】12市町村の22年度負担金など議案2件を承認した。21年度事業進ちょく状況の報告では、新型コロナウイルスの影響などから中止や延期となった観光関連イベントが続出したことから、9月末の予算執行率が約25%にとどまっていることが報告された。事務局は10月以降、新型コロナの感染が落ち着いていることから「中止、延期されたイベントの代替事業などを今後実施する」考えを示した。

【奄美群島地域産業振興基金協会理事会】21年度収支予算書補正、22年度管理負担金及び事業費負担金の2議案を承認した。