初当選の安田奄美市長

新首長インタビュー
政治不信、諦め変える
経済活性化、所得の向上 若さ発揮、民間連携し前へ

 14日に投開票された奄美市長選は、前市議で無所属の安田壮平氏(42)が新人同士の一騎打ちを制し、初当選を果たした。新型コロナウイルスの感染者数も落ち着く中、これからは生活・経済の再生という新たなステージへと移る時代の変わり目、転換期に誕生した若きリーダー。「政治への不信や諦めを変えていきたい」と語る安田氏に、選挙戦の総括と市政への展望を聞いた。

 ―一夜明けた今の心境は。

 当選できてほっとした。責任の大きさを感じているがそれにひるむことなく、訴えてきたことを行動に移したい。

 ―1万1千票の差がついた。勝因は。

 社会の疲弊、閉塞感があり若者の期待には、風穴を開けてほしいという熱望もあったのではないか。地道に活動してきたことで、政治家としての信頼もいただけたと思う。

 ―42歳、年齢をどう感じるか。

 人生80年、90年、真ん中の働き盛りの世代で若すぎるということはない。世界のリーダーもその世代で、活躍するベンチャー企業などはさらに若い。対等に話せる歳で、(ITやデジタルを)わかるという強みも発揮できる。

 ―まずは何に取り組む。

 まずはコロナ対策。企業など民間との連携を強化し、観光客を受け入れながら波及効果を増やさなければならない。積極的に見直したいのは情報発信、情報公開で、例えばホームページや奄美市便りなどの市民向け情報。民間のプロのノウハウを活かすなどもっと洗練できるのではないか。行政中心主義に見えないよう、職員と共有しながら政策立案、プロセスを多様化していきたい。

 ―しこり解消は。

 今いる市議とは仲良くやってきた。コロナ禍の中、反対のための反対とかやっている場合ではない。もう一度頭を下げ、時には議論を交わす。いい奄美市をつくるという思いは共通。そこは理解いただけると思う。

 ―安田市長で何が変わる。

 目指したい姿は、身近な市長像。普通に商店街を歩いて声を集めたい。(要望や意見など)全体のために私を使っていただけるなら、なんにでも取り組む思いだ。

 ―1期目、4年後に描く姿は。

 一番は経済活性化、所得の向上。世界自然遺産を活用してコロナ禍前に戻し、観光客の一人あたりの消費額を上げる。奄美といえばこれだというような商品開発にも積極的に投資したい。

 ―どんな奄美市を目指す。

 民間の提案やアイデアをこれまで生かしてこなかった。「断らない行政」で形にする行政づくりが必要。政治は誰がやっても同じだという不信や諦めなどの考え方を変え、地域に活気が生まれるよう挑戦したい。

 (聞き手・青木良貴)

メモ

 (やすだ・そうへい)東京大学法学部卒。コンサルティング会社員、松下政経塾など。モットーは「感謝と謙虚さ」。休日はランチやドライブなど家族と過ごして英気を養う。名瀬小俣町で、理美夫人と長男の3人暮らし。42歳。