ハブによる犬猫の咬傷被害が多発

咬傷被害にあった猫を説明する伊藤圭子獣医師

「飼い主は命懸けで動物守って」

ハブの活動時期は7、8月の真夏より、春から梅雨の時期(4~6月)と、暑さの和らぐ秋(9~10月)の時期が活発。同病院へも咬傷を負った動物が多数受診に訪れている。現在までに春、秋とも10件ほどの被害があった。伊藤獣医師は、まだ増加するとみている。今年は手術事案こそないが、治療をしたものの、その後死亡した犬が1件あった。

犬猫とも被害箇所は顔と前足が多く、犬は散歩中に草むらで、猫は屋外から戻ってきたときに飼い主が被害に気付く場合が多い。また、帰ってこれなくて死ぬ事もあるとのこと。対策としては、犬は草むらに近づかせない。猫は室内飼いを徹底し、脱走防止対策を施すようにと呼び掛けた。

同町男性の飼い猫(雄、当時1歳)は2年前の5月、室内から脱走し、2日後に右目を大きく腫らし出血した状態で玄関先へ帰ってきた。同病院で治療を受け、後日、ハブの咬傷により眼球がつぶれてしまっていると判明。右眼球の摘出手術を行なった。片目となった猫は現在、元気に暮らしているという。

助かる命もあれば、死ぬ命もある。動物の命はすべて飼い主に委ねられていると、伊藤獣医師は語った。

「猫は室内飼いが基本中の基本。無責任に外に出し、〝命懸けの思い〟をなぜ猫に背負わせなければならないのか。飼い主こそ命を懸けて動物を守るべきだ。責任をもって室内飼いを徹底してほしい」(伊藤獣医師)。

また同病院は、10月6日からレントゲン施設を導入、犬猫鳥以外にもあらゆる動物に対応できる。ハブの咬傷被害にも迅速に対応できる態勢が整ったという。しかし、動物の命を守るのはあくまでも飼い主自身だと、伊藤獣医師は切々と繰り返した。