徳之島赤土新ばれいしょ春一番

種いも不足・面積伸び悩みにも有利販売に期待。バレイショの植え付け作業に励む生産者=17日、伊仙町目手久で

植付け作業本格化
種いも不足警戒も価格期待

【徳之島】徳之島地区では、JAあまみ徳之島事業本部と同天城事業本部の主要品目・2022年期産「赤土新ばれいしょ春一番」の植え付け作業が本格化している。北海道産の不作と相まった種いも不足によって一部では面積減を余儀なくされる事態も。懸念材料の一方、販売環境の見通しは「前期に続き明るい」で共通。合同出発式は1月30日に予定している。

同JA徳之島事業本部管内(徳之島、伊仙両町)の22年産「春一番」の共販計画・目標は約281㌶(前期同)、約5千㌧(同実績比約2500㌧増)、約9億円(同約1億6900万円増)を見込んでいる。

種いもの供給地でもある北海道産地の干ばつによる大幅減産のしわ寄せで、共販計画分の種芋の予約総量が当初「約1割」も不足した。生産農家には「バレイショを植えたくても、植える種が足りない」という深刻な事態に陥った。徳之島事業本部はJA県経済連などと協議し、規格外品の小玉も種子に充て「申し込み量の約百%」を確保できた。

天城事業本部(天城町内)分については、共販面積約190㌶を見込むが、管内の全予約量に対し「依然として5%弱が不足」(17日夕現在)。そのため共販目標量・額は現在集計中という。

生産者の最大関心となる販売環境の見通しは、徳之島事業本部園芸課(叶貴嘉課長)、天城同畜産園芸課(寿山博課長)ともに、小玉傾向で不作ながら高単価取引に救われた前期(今春)に近い形で「明るい」と予想。種いも不足の背景には、干ばつによる北海道産の大幅減産があるが「種子不足・面積減を補うため単収向上が重要」(寿山課長)と強調する。

種いも不足を背景にJA系統外分では、植物防疫法に基づくジャガイモシロシストセンチュウなど防除対策のない「青果用いも」植え付けに対する懸念も。「(未消毒の)植防検査証票のない種で同センチュウが発生した場合、徳之島地区全体が栽培・出荷停止の死活問題になる」と指摘。徳之島3町当局も注意を呼び掛けている。

バレイショ約70㌃と生産牛50頭を複合経営し17日、後継者の家族と2人で植え付け作業に励んでいた伊仙町目手久の農業松満久さん(69)。「種いも不足で計画面積の約1割減をフォローするのは大変だが、前期同様、価格に期待したい」と話していた。