クイーンコーラル8「22年間ありがとう…」

奄美・沖縄航路で最後の接岸となった「クイーンコーラル8」=18日夕、徳之島町亀徳新港

森船長らを横断幕と花束でねぎらった関係者

徳之島・亀徳新港 横断幕と花束でねぎらう

【徳之島】マリックスライン(本社・鹿児島市)が奄美・沖縄航路で運航してきた「クイーンコーラル8」(4945トン)は、19日朝の鹿児島新港到着をもって役割を終える。就航以来22年と2カ月。乗客物資を運び続け離島の生活を支えた。最後の航海となった18日夕、徳之島町亀徳新港では、関係者が感謝の横断幕と花束でねぎらい別れを惜しんだ。

クイーンコーラル8は1999年9月に就航。快適性を重視した女性サロン(レストラン内)やバリアフリー配慮、スピード(速力 22ノット)も売りだった。22年間には乗客数延べ約150万人、膨大な生活物資や農産物など物流も担ってきた。

伊仙町目手久にある先祖代々の墓地に墓参のため、親子3代の7人で大阪市から来島した林田御園(みその)さん(80)。くしくも最後の航海の17日の下り、18日の上り便ともに同船を利用。「まったくの偶然です。17日に船内で知らされ(記念の)お菓子をいただいた。17日は祖父の命日でもあった」。同船には「2年に1度の墓参でお世話になった。大きな事故もなくみんなの命を運んでいただいとことにも感謝をしたい」と話した。

亀徳新港では「島民の夢と希望を運んでくれてありがとう!長い旅お疲れ様でした」(徳之島町)、「22年間ありがとう」(亀津中学生有志)など横断幕も掲出。幸野善治副町長ら同町職員が、森隆船長(48)ら同船スタッフに花束を贈って感謝。森船長はバレイショなど離島の農作物輸送にも貢献した航行速度などにもふれながら「感無量です」と感謝していた。

マリックスラインによると、国外での〝第2の航路〟となる売却先は未定。20日から新造船「クイーンコーラルクロス」(8000トン)にバトンを渡す。