沖永良部でラーニング・ワーケーション

ツアー参加者に海ごみの現状を説明する竿智之さん(右手前)=19日、和泊町内喜名海岸=

西郷南州記念館隣の再現牢の中で正座するツアー参加者=18日、和泊町=

企業の社員が参加
リーダー育成へ 西郷隆盛やうじじきれい団から学ぶ

 【沖永良部】仕事と余暇に加え、学びの要素も組み合わせた「ラーニング・ワーケーション」のモニターツアーが17~20日の日程で、沖永良部島内で行われている。東芝や日本航空、JTBの社員ら6人が参加。島の自然を楽しみながら西郷隆盛の生き方や、地球規模の課題に家族で取り組む「うじじきれい団」の活動を学ぶ。

 島内でのワーケーションの可能性を探ろうと、おきのえらぶ島観光協会、和泊町、日本能率協会マネジメントセンター(以下、JMAM)が企画。新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用した。事業費は約300万円。

 プログラムのテーマは「自己変容」。沖永良部島で「敬天愛人」の思想を確立した西郷隆盛と、知名町在住で海ごみ問題の解決に家族で取り組んでいる「うじじきれい団」の活動を学ぶことでリーダー育成を図る。

 18日は、和泊町伊延港にある「西郷隆盛上陸の地」からツアーがスタートした。西郷が歩いたとされる道の一部や町内の史跡を散策後、西郷南州記念館に移動。えらぶ郷土研究会の先田光演会長と記念館職員の宗淳さんが講師となり、西郷の流罪生活や島民との交流などを説明したほか、記念館隣に再現された吹きさらしの牢屋を案内した。

 19日朝、和泊町内喜名海岸に集まった参加者は、「うじじきれい団」として活動する竿智之さん一家とビーチクリーンを体験。拾い集めたマイクロプラスチックを見せた竿さんは「いま私たちが動かなければ、子や孫の世代までこのごみが残り続ける」と話した。

 ツアー最終日は、今回のプログラムを通じて感じたことを文字にする揮毫体験を予定している。

 香川県で地方創生のプロジェクトに関わっている日本航空の坂田萌さん(34)は「交流人口を増やすヒントを得るためにツアーに参加した。島の人の温かさや親しみやすさが、リピーターの多さにつながっていると感じた」と話した。

 ツアーアンバサダーのJMAMの川村泰朗さんは「西郷の教えや、新しい価値観を世界に発信している竿さん一家の活動は、この島にしかないもの。ツアーでの体験を通して参加者それぞれが自分の考えを持ち、リーダーシップを発揮してほしい」と語った。