SOSどう受け止める

「子どもの心に寄り添うために」をテーマに講演した髙橋さん

テーマは「子どもの心に寄り添う」
笠利町で髙橋さん講演

 コロナ禍で子どもの自殺が増えるなか、問題を抱えた子どもたちのSOSをどう受け止めるかについて考える講演会が18日、奄美市笠利町の笠利農村環境改善センターであった。講師は、一般社団法人代表で医学博士の髙橋聡美さん。髙橋さんはSOSの受け止め方ついて「失敗をすぐ否定することで子どもは萎縮する。ありのまま受け止め、何が起きているか聴くことが大事」などと呼び掛けた。

 演題は「子どもの心に寄り添うために、気持ちが伝わる言葉の力」。奄美市笠利総合支所いきいき健康課が主催し、コロナ禍で生まれる不安やSOSを出す子どもたちと、どう接しどう向き合うのかを大人に知ってもらおうと企画した。

 講師の髙橋さんは、学校のメンタルヘルスケアに関わる一方、自殺予防教育や講演活動などで全国を奔走。宮城県を拠点に、被災地の遺族ケアなどにも長年取り組んでいる。

 「子どもが親の話を聴いていない感じがする」。これについて髙橋さんはテストで成績が悪かった場合を例に、「〝毎日勉強しなさい〟〝ゲームばかりしているからよ〟など答えることは怒りや脅し、命令であって、親がコントロールしたいという強い意識の表れ」だと強調。「叱るだけだと子どもは失敗を隠し、SOS出さなくなる。(質問する)子どもは解決ではなく会話を望んでいる。ありのまま受け止めて(受容傾聴)ほしい」と警鐘を鳴らした。

 髙橋さんは、対話をスムーズにし子どもの自尊感情を育む手段として「オウム返し」「詳しく尋ねる」といった会話術を紹介。「失敗した時は叱る前にまずは共有を。自尊感情を育む機会にできるかは大人の声掛け次第。寛大な心で接してほしい」などとアドバイスした。

 この後は、参加者らと質疑応答。笠利総合支所からは市内の「中高生アンケート」「現状と取り組み」に関する報告などもあった。