国指定史跡であった「カムィヤキの森散策」で窯跡を探した参加者たち=20日、伊仙町検福
「カムィヤキの森」のぬかるんだ急斜面に悪戦苦闘も
【徳之島】伊仙町歴史民俗資料館の2021年度「地域の特色ある埋蔵文化財活用事業・徳之島のいろは」のイベント一つ「カムィヤキの森散策~窯跡はいくつあるのかな?」が20日午前、「カムィヤキの森」(同町検福地内)であった。親子連れなど約40人が参加。国指定史跡「徳之島カムィヤキ陶器窯跡」を訪ね、陶工ら先人の息吹、中世の歴史ロマンにひたった。
新型コロナの影響で一部中止を受けつつも計10回シリーズで計画した21年度の新規事業「徳之島のいろは」の一つ。「カムィヤキの森散策~」は「いせん親子チャレンジ教室2021」(町教育委員会主催)との併催で約20人ずつが参加。2班に分かれ、ぬかるんだ急斜面で補助ロープも頼りにアタックした。
学芸員たちは解説で、カムィヤキ陶器は約1千年前に奄美・沖縄の人々の生活には欠かせない食器として登場。その後約3百年間、南西諸島で一大シェアを誇った。カムィヤキの森には窯跡がこれまで百基以上確認され、カムィヤキの森以外では見つかってない―ことなどを分かりやすく説いた。
同史跡群の一つ「検福ウッタ支群」(旧11支群)では、斜面に包含された窯跡(灰原)の陶器片の一部に、中世期の陶工ら先人が汗して陶土をこねたと思われる「指の跡」を見つけて大いに感動。同窯跡を見学後は、数百㍍離れた小高い山の頂上部、カムィヤキが作られた時代の按司(あじ=地域の権力者)の城跡とされる「ウービラグスク」(同町中山)も見学した。
小学生の娘と参加していた関恵(せきめぐみ)さん(38)=同町面縄=は「自然は好きだが、カムィヤキの歴史はあまり知らなかった。昔、島でそんな陶器が作られていたとは」と感動。エコツアーガイドの松田りえ子さん(同町伊仙)は「島外の方々に、徳之島の素晴らしさを紹介できる価値の共有が大事と思う」と強調。
町歴民館の榎本美里学芸員(33)も「自分たちの住むまちの歴史や文化を知らない方が意外と多いので、島の魅力を自分の口でしっかりと伝えられることが大事。(子らは)将来、島外に出たときの財産にもなると思う」と話していた。
来月4日は「昔の生活に欠かせない『火おこし』体験をしてみよう」(参加受け付け済み)がある。