「ふるさとは心も姿も美しく」

ふるさと講演後、妻啓子さん(右)とともに感謝の花束を受けた稲村公望氏=20日、天城町

元日本郵便副会長 稲村公望氏が講演 天城町

 【徳之島】天城町制施行60周年記念「生涯学習講演会~未来へ羽ばたく天城町~」が20日、同町防災センターであった。日本郵政・総務官僚、外交官、日本郵便㈱副会長など要職を歴任し、郵政民営化反対の論客でも知られた現在著述家の稲村公望氏(73)=同町松原出身、東京都在住=が演題「ふるさとは心も姿も美しく」で講演。島口を交えた熱い〝島っ人(しまっちゅ)アイデンティティ〟豊かにふるさとへの思いを語った。

 稲村氏は、ラ・サール高、東京大学法学部を卒業後、郵政省に入省。その後、米国フレッチャー法律外交大学院修士。2001年の中央省庁再編で総務省大臣官房審議会、政策統括官(情報通信担当)、日本郵政公社常務理事など務め05年退官。中央大客員教授、日本郵便㈱副会長などを歴任し、19年春の叙勲で瑞宝中綬章。著書に「黒潮文明論―民族の基層と源流を想う」「続・黒潮文化論」など。

 ふるさと講演は聴衆を約180人に制限してあった。森田弘光町長は講師紹介で「今日の情報通信技術(ICT)普及の先端に立ったのは〝公望ムィ(兄)〟だと自負。若い人たちにも(稲村氏の)存在を知って欲しい」ともアピールした。

 稲村氏は、豪放磊落でざっくばらんな語り口が特徴。郵政民営化反対の急先鋒に立って「霞が関を追われた」歩みも述懐。国は「地方を大事にすべきで、地域格差があってはならない。(呼称も)『離島』ではなく『島々』であるべきだ」と持論を展開。方言の〝古語〟など流ちょうな島口を交えながら「島を離れて60年、私の島口は〝生きた化石〟のように生きている。自己紹介も『奄美・徳之島出身』だ」とも強調。

 教育熱心で人生の道標を示してくれた松原の亡き祖母や母の〝まぶり〟(魂)とともに思い出なども紹介。元級友や友人ら3人も登壇して思い出も紹介。当時地元新聞にも騒がれた「天才・神童」扱いには「天才ではなかった。努力をすれば何でもできる」。そして「ふるさとに来て、こんな話が堂々とできることをうれしく思う」と感謝した。