あまみ療育ネットワーク 龍郷町で発達セミナー

乳幼児の発達支援などについて講演する町村氏(左)

「心の声、寄り添って」 「赤鼻のセンセイ」ら講演

 発達に問題を抱える子どもやその家族、支援する人たちでつくる「あまみ療育ネットワーク」(宮田智子会長)の発達セミナーが20日、龍郷町体育文化センターりゅうゆう館であった。乳幼児の発達支援などに詳しい㈱ゆう地域支援事業団の町村純子代表取締役と病院内学級など病弱教育に取り組む昭和大学大学院保健医療学研究科の副島賢和准教授が講演。副島氏は「コロナ禍で人とのかかわりが制限され、孤立している子どもたちが増えている。助けを求める子どもたちの心の声を聞き、一人じゃないよと寄り添ってあげてほしい」と呼び掛けた。

 セミナーには、保育士や保健師、看護師、言語療法士、教員ら約120人が出席。発達支援の在り方などについて学んだ。

 町村氏は、離乳食の与え方などを実践しながら、「子どもたちの発達を線で見ていくことが大切。個々の子どもたちの発達特性に合わせ、早期に支援することで、子どもたちは、自ら生きるための力を身につけることにつながる」などとして、医療、保育、教育などの機関が連携することで、療育を必要とする子どもたちを早期発見し、発達支援につなげることの重要性を指摘した。

 副島氏は東京都の小学校教員を経て、病院内学級で入院生活を送る子どもたちの学習支援などを行っており、ドラマ「赤鼻のセンセイ」(日本テレビ、2009年)のモデルにもなった。

 講演では、病院学級で出会った子どもたちが、様々な不安や孤独、恐怖などにさらされながら懸命に生きていることを紹介。「学校や家族から離れて暮らす子どもたちは、病気になった自分を否定し、迷惑な存在と考えてしまう。そのままの自分でいいんだという、自己肯定感を育てることが大切」などとし、「怒りや悲しみ、喜びや不安といった感情に良い悪いはない。どんな感情も大切にして、その伝え方を一緒に考えてあげてほしい。感情をしっかりと受け止めたうえで、駄目なことはダメという姿勢を示すことが必要」などと話した。

 また、コロナ禍で不登校や自殺する子どもたちが増えている現状を指摘し「助けを求めている子どもたちのサインやシグナルに気付いてほしい。一人じゃないよ。『助けて』って言っていいんだ、失敗したっていいんだということを伝え、子どもたちの思いに、しっかり寄り添ってほしい」と訴えた。