第2地下ダム着工へ始動

荒木の新事業所では関係者らが看板掛け式に臨んだ

九州農政局 新拠点開所式 事業費310億円、35年度完了目指す 喜界島

 喜界島の新たな地下ダム建設の着工などに向けた国営喜界土地改良事業の新拠点「九州農政局喜界島水利事業所」(石橋千富所長、職員10人)の開所式が24日、喜界町自然休養村管理センターであった。今後は15年間で310億円をかけて第2地下ダムや用水路などの新規施設の整備、既存施設の改修を実施。新たな畑地かんがい用水を確保し、農業生産性の向上、農業経営の安定を目指す。

 計画では、中里、荒木集落などの地中にまたがる第2地下ダムを新たに建設し、揚水機場1カ所、用水路15・4㌔、貯水池4カ所などを新設。併せて老朽化の進む、第1地下ダム、揚水機場4カ所、用水路2・1㌔、貯水池6カ所などを改修する。

 第2地下ダムは、新たに中里、荒木、手久津久、花良冶、滝川、伊実久、坂嶺、西目、大朝戸、中熊、島中、中間、城久の各集落に農業用水を送り、前事業(1993~2003年度)と合わせて喜界島全農地の約85%を担う2257㌶の受益面積を確保する。水需要変化の対応に向けては、前事業の用水路を接続し直して効率的に再編。改修工事では既存施設の長寿命化対策などで、サトウキビを中心に、喜界島の野菜や果樹、白ゴマなどの生産を支えていく。

 今後は、第2地下ダムの南堤・北堤(止水壁)の調査に着手。入札などの業者選定に向けた準備も今年度を目処に進めていく。

 開所式には、九州農政局や県大島支庁、喜界町や喜界土地改良区の職員など約30人が出席した。同局農村振興部の植野栄治部長は「農家の労力低減に向けて、一日も早く事業完了を目指したい」とあいさつ。隈崎悦男喜界町長も「稼げる農業、魅力ある農業の実現のため協力して取り組みたい」と期待を寄せた。

 式後は旧荒木小学校を活用した新事業所で「看板掛け式」も実施。石橋所長は「サトウキビ一辺倒からも脱却できるよう、ソフト的支援もしながらしっかりと効果をあげていきたい」と話した。

 事業は35年度までを予定。事業費310億円のうち、国90%、県7・5%、町2・5%を負担し、完了後は喜界町と喜界土地改良区が維持管理にあたる。