原油高、離島生活にも影響

来店した車に給油するガソリンスタンドのスタッフ(25日、奄美市名瀬)

県平均価格、全国2番目の高値 奄美は1リットル180円台に

 

全国的な原油価格の高騰により、奄美でもガソリン価格の高止まりが続いている。経済産業省が25日に発表したレギュラーガソリンの店頭小売価格(22日現在)は全国平均168・7円で、前週より0・2円値下がりしたものの、高止まりが続く。県内の平均小売価格も1リットル当り176・6円と、全国平均より8円高く、長崎県(176・9円)に次いで全国2番目の高値となっている。軽油や灯油、重油などの燃料も軒並み高値となっており、県本土に比べさらに高い離島への影響は大きい。価格高騰を受け、政府は24日に備蓄する石油の一部放出を表明したが、値下げ効果は不透明で、市民生活への影響が心配される。

備蓄放出も効果は一時的か

同省がまとめた、都道府県別のガソリン小売価格の動きでは、前週に比べ値上がりしたのが13県、横ばいは10府県、値下がりは24都府県となっており、価格高騰は一息ついた状況だが、依然として高止まりの状態で、2014年以来、7年ぶりの高値水準が続いている。

背景には新型コロナウイルスで落ち込んだ経済活動が世界的に再開したことで、原油の需要が増えた一方、主要産油国の増産ペースが緩やかなため、供給不足の懸念から全国的に価格が高騰。なかでも離島を多く抱える鹿児島と長崎での価格高騰が目立つ形となっている。

ガソリンのほか、冬場に需要が増える灯油も高騰しており、県内店頭価は、18リットル当り2178円で、沖縄県(2271円)に次ぐ高値となっている。

奄美群島のガソリン店頭価格は県本土よりさらに高く、1リットル当り180円を超えるケースも多く、200円近いところもある。

県石油商業組合大島支部の豊隆文支部長は「離島は、輸送費のほか備蓄のためのタンクの維持管理費など、本土に比べコストがかかってしまう。軽減措置などもあるが、世界的な原油価格の高騰による影響が上回ってしまっている」と話し、政府が備蓄する石油を放出する方針を打ち出したことに対しては「一時的に値下がりする可能性はあるが、長期的な効果はあまり期待できない。石油輸出機構(OPEC)など産油国の増産を期待するしかない」と話した。

奄美市内のガソリンスタンで給油をしていた建設会社勤務の男性(43)は「毎朝、現場まで車で通勤しているが、1カ月のガソリン代が3カ月前より5千円以上増えた。重機などの燃料代も入れると、かなりの出費になる」と嘆いた。