オープン5カ月で1000冊販売

シェア本屋の店内で本棚の整理をする木村さん

シェア本屋「AMAMI・MUJIN」
高校生オーナーら活躍 東大院生との企画展計画も

 奄美市名瀬末広町の中央通りアーケードにあるシェア本屋「AMAMI・MUJIN(アマミ・ムジン)」が、5月末のオープンから約5カ月で、売上げ1000冊を突破した。当初約30人でスタートしたブックオーナーも約55人に増え、本を通した交流の場として、多くの人たちに愛される存在となっている。代表を務める木村麻里さん(32)は、「こんなに多くの本が売れるとは想像していなかった。本を通じた新たな出会いもあり、本の楽しさも感じてもらえている」と喜ぶ。

 シェア本屋は、ブックオーナーとして登録した個人が、それぞれ所有する本を持ち寄り、店内の本棚を借りて、販売するもの。本は1冊100円から数百円程度で販売。購入者は本に挟んである封筒にお金を入れ、備え付けのポストに入れる。売上金の2割が店側の収入となり、8割がオーナーに支払われ、新たな本の購入費などに充てられる。

 木村さんが2年ほど前、旅行先の奈良県でその存在を知り、子どもたち主体の店を発案。商店街の空き店舗を利用し5月末にオープンした。6畳ほどの店内には、絵本や小説、実用書など様々なジャンルの本400~500冊ほどが並ぶ。オーナーとして登録する人も徐々に増えている。

 これまでに、高校生らが中心となったイベントなども企画した。夏をテーマにした本を紹介する「夏フェス」では、絵や書道の得意な高校生がポスターなどの装飾を行ったほか、今月6日に行われた中心商店街の秋まつりでは、本の福袋(3冊500円)の販売なども行った。店内には、オーナーと購入者が交流できるノートや掲示板なども設置、双方向のつながりができるよう工夫している。

 木村さんは「ノートにはお礼や本の感想、店への要望など様々な言葉がつづられていて、子どもから大人まで幅広い年代の人たちが、本を通してつながっていると感じる。シェア本屋から新たな出会いも生まれている」と話す。

 新しい本屋の形などについて研究、提案する活動を行っている東京大大学院生らと連携した取り組みも始まった。来年2月に市内で「奄美発の面白い本屋の企画・展示」を計画、12月5日には、同大学院生2人が来島、オーナーらと展示会に向けた意見交換を行う。

 木村さんは「本を通じた人と人のつながりがさらに広がるとうれしい。子どもたちがこの場所でいろんなことに体験、挑戦できる環境をつくっていけたら。興味のある人はぜひ、オーナーになってほしい」と、参加を呼び掛けている。

 営業時間は午前9時~午後6時で、定休日は決まっていない。店舗やオーナーなどの問い合わせは木村さん(電話080―4231―5477)へ。