「第三者認証店」

「鹿児島県飲食店第三者認証」を示すステッカー

与論、大島郡全体の半分近く
感染対策徹底 認証店には町が報奨金

 県は新型コロナウイルス対応に関する新たな方針を示し、会食制限(少人数、短時間利用)を撤廃するとともに、感染対策の基準を満たして県の認証を受けた「第三者認証店」の利用を呼びかけている。感染対策が徹底されているためで、この認証制度の適合店は11月22日現在、1834店。県全体の対象店(約1万4千店)に占める割合は2割弱にとどまっているが、奄美では10月以降増加、なかでも与論町は大島郡認証店の半分近くを占める。町独自に設けたチェックリストと県の調査項目がほとんど同じでスムーズに移行できているほか、認証店への報奨金など支援策が促進につながっている。

 県の第三者認証制度は、新型コロナ感染防止対策で基準に適合した飲食店を県が認証。認証ステッカーを交付することで感染防止対策の一層の徹底を図るとともに、利用者への安心と信頼の確保と社会経済活動の両立を図るのが目的。申請した店舗を県が現地調査し、消毒液の設置や換気、滞在時間の制限など37項目の基準に適合すれば認められる仕組み。

 25日に開かれた県の対策会議で新たな警戒基準(0~4の4段階)を決定。新規感染なしが続く現在の状況は「レベル0」。レベルの引き上げに応じ、飲食店の時短要請などの制約がかかるが、感染対策を強化した認証店については利用促進を引き続き掲げる。

 県は優遇措置がある第三者認証の積極的な取得を飲食店に呼びかけるが、奄美の取得状況をみると、9月22日時点では奄美市3、天城町1、和泊町1の計5店舗にとどまっていた。奄美での取得は10月以降増加。奄美市14、大島郡19の計33店舗となっている。大島郡の取得店のうち9店舗(全体に占める割合47・37%)は与論町。11月に入ってまとまって認証されている。

 与論町では昨年7月、11月と飲食店でのクラスター(感染者集団)が発生、島内の警戒レベルは最高に引き上げられた。町商工観光課によると、飲食店での感染防止対策を徹底するため鹿児島大学から専門家を招き、飲食店を対象とした研修会を開催。飲食店の巡回調査も行い、町は感染対策に必要な費用助成に乗り出すと同時に、町独自のチェックリストを設けて安全対策の徹底を図った。

 約50店舗で構成する飲食店組合も発足。同組合、観光協会、町の連携で飲食店での感染症対策が全体に浸透する体制が構築された。町は県の第三者認証の取得も推進。町商工観光課は「町独自のチェックリストと県の認証基準がほとんど同じのため、調査を受け入れての認証申請へスムーズに移行できている。町では認証店に対し10万円の報奨金(「安心の宿」認証の宿泊施設を含めて)も行い、認証を働きかけている」と話す。これまでに飲食店5件に報奨金を交付済み。町の支援による取得促進が11月に入ってからのまとまった認証につながっており、今後も増加が見込まれている。