奄美市、大熊で徘徊模擬訓練

高齢のはいかい者役に声掛け模擬訓練をする大熊町住民

地域ぐるみで認知症を理解
参加住民、優しく声かけ

 奄美市高齢者福祉課は28日、認知症にどう対応するかの模擬訓練を、同市名瀬大熊町で行った。住民約40人は、徘徊役の人に優しく声掛けをし、認知症への理解を深めた。

 徘徊模擬訓練は、認知症についての普及啓発や、認知症の人が安心して暮らせる地域づくりを目指すためのもの。同課の平田博行課長は「これからの20年間が高齢者増加のピーク。訓練を通して、いい地域づくりのきっかになってほしい」と述べた。

 訓練は、地域で認知症の高齢者が徘徊していると想定。参加者は数班に分かれて、スタッフの扮した高齢者役に声を掛けた。

 2人で声掛けをした西音色さんと武田りあんさん(朝日小6年)は、返事のない高齢者の杖に書かれた名前と住所に気づき、担当部署に電話で報告。「話しかけても言葉が返ってこない。話を聞き出すために、優しい言葉使いと目線を合わせることに気をつけた」と話した。吉野政和さん(57)は「返事の返ってこない相手に、いかに安心させ話をしてもらうか、本当に難しかった」と話した。

 生きがい推進係の平英知さんは「一番の目的は命を救うこと」とし、「徘徊は本人にとっては目的のある行動。認知症を地域で正しく理解し、徘徊に気づける地域づくりをしてほしい」と認知症や徘徊への理解を述べた。