朝山市長が退任

花束を受け取り、市民らに感謝を述べる朝山氏

豪雨災害対応や世界自然遺産実現
市役所でセレモニー

 奄美市長を3期12年務めた朝山毅氏(74)の退任セレモニーが、任期満了を迎えた30日、市役所玄関で行われた。職員や同級生などから花束を贈られた朝山氏は、職員や多くの市民に見送られ市役所を後にした。

 朝山氏はセレモニーで、「市民の思いを理解することを心掛け、市政にあたってきた。多くの市民の励まし、議会の協力、職員の支えもあって、(市長として)12年間を穏やかに終えることができたことに感謝したい」と、集まった市民らに謝意を伝えた。

 朝山氏は1994年から3期11年、旧笠利町長を務め、2006年に市町村合併で誕生した奄美市の助役(のちに副市長)に就任。09年には、前市長の辞職に伴う市長選に立候補、新人同士の一騎打ちを制し、初当選した。

 就任から約1年後の10年には、奄美豪雨災害を経験、「災害に強いまちづくり」を目指し、防災拠点としての機能を備えた住用、笠利両総合支所を整備するなど災害からの復興に取り組んだ。また、危機的状況にあった市財政の再建に取り組んだほか、19年には本庁舎の建て替えも実現、今年7月には、世界自然遺産の登録を実現した。任期終盤となった昨年以降は、新型コロナウイルスの感染対策にも取り組んだ。今年6月の市議会定例会で勇退を表明した。

 朝山氏は、この12年間を振り返り、「就任一年足らずで未曽有の豪雨災害を経験、任期終盤には新型コロナという災難に見舞われ、わが身を恨めしく思うこともあった。しかし、先人たちが育んできた奄美の自然や文化が世界自然遺産として世界に認められ、大島高校野球部の活躍により、条件が不利でも努力すれば、全国で戦えることを高校生が示してくれた。たくさんの人たちから感動と感激をもらうことができた」などと述べ、少し目を潤ませる場面もあった。

 また、セレモニーに先立って行われた、退任にあたっての職員へのあいさつでは「市民に対する謙虚さを忘れず、卑屈にならず、自らの理念に向かって、仲間と協力して、よりよい奄美市をつくっていってほしい」と呼び掛けた。