「徳之島ダム」機能発揮の畑かん営農推進も強く求められた営農技術・経営研修会=11月30日、徳之島町文化会館
【徳之島】徳之島地区の2021年度営農技術・経営研修会(同地域総合営農推進本部、同島農業改良普及事業協議会主催)が30日、徳之島町文化会館であった。関係機関・団体の代表が有望品目「エダマメ」や畑かん利用による牧草栽培、サトウキビ農作業受委託調整の仕組みづくり事例、畑かん整備推進など五つのテーマで発表。新規品目や新技術、経営改善に情報共有を図った。
徳之島ダム(通数開始6年目)の水利用面積の拡大による単収向上や高収益性作物の導入促進、農業経営の改善、農地の有効活用などを目的に2012年度から開いている。島内の担い手農家や関係機関・団体など約100人が参加した。
総合営農推進本部長の高岡秀規徳之島町長は「国営かんがい排水事業(徳之島ダム)に続き、県営畑かん整備事業も終了が近づいている。畑かん整備・同営農を強力に推進しよう」と呼び掛けた。
事例発表では▽「奄美地域における有望品種『エダマメ』の栽培」(県農業総合センター徳之島支場・出田悠晟研究員)▽「畑かん利用のトランスバーラ(牧草品集)でガッチリ収量確保を」(県徳之島事務所農業普及課・福元和宏技術主幹)▽「さとうきび農作業受委託調整の仕組みづくり」(同課・福山祐二技術専門員)。
畑かん営農推進では▽「畑かん整備でこんなに違う」(県徳之島事務所農村整備課・東上床寛計画係長)▽「畑かん散水状況(故障事例など)について」(徳之島用水土地改良区・新田和徳技師)それぞれ発表した。
国内消費量の半分を輸入に頼り、高単価・軽量品目である上に1月~5月の高単価期に収穫できるエダマメの有望性。「褐点病」が顕著なローズグラス代わって有望なトランスバーラ。担い手農家の労働力不足・基幹作業重複下でキビ省力化改革の仕組みを官民で構築した受委託調整センターの機能強化。
そして畑かん営農推進では、国営かんがい排水事業(受益面積3451㌶)代替の県営畑かん(末端の給水栓やスプリンクラーなど)整備事業による散水開始面積が依然として計729・7㌶(進捗率21・1%)=今年4月1日現在=に低迷。最終事業完了地区も約3年後に迫る中、スプリンクラ―整備による所得向上効果などを例示。「徳之島農業の未来を守るため、畑かん整備された農地を子や孫に」と推進協力を求めた。