世界自然遺産地域連携ミーティング

徳之島のタンカン生産農家とアマミノクロウサギとの共存など、さまざまな活動が報告された地域連携ミーティング

 

 

クロウサギとの共存報告も
関係団体が活動を共有・連携へ

 

 環境省は3日、奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島世界自然遺産地域連携ミーティングをオンラインで開いた。各世界遺産地域で積極的に活動している団体の取り組みを共有し、それぞれの活動からヒントを得ながら意見交換を行った。

 世界遺産登録を機に4地域がつながりを持ち、連携を深め、遺産地域の活性化につなげることが目的。自然、観光、農業など関係団体や個人等約40人が参加、約50人が傍聴した。はじめに7団体が活動報告、その後意見交換が行われた。

 奄美大島からは、あまみ大島観光物産連盟の境田清一郎事務局長がe‐bⅰkeを活用した環境文化型ツアーの実証事業について報告。アマミノクロウサギなどを観察するナイトツアーへの活用を提案した。

 徳之島からはタンカン生産農家の松下清志郎さん、米原稔さん、徳之島町役場企画課の米山太平さんが登壇。アマミノクロウサギによるタンカンの食害とその対策を紹介しながら、クロウサギとの共存について報告。食害問題の解決に向け、クロウサギの生態を学び、柵設置などを体験する有料エコツアーを開催し、好評だったとする一方、サトウキビ被害は増えているという。

 沖縄島北部からはEndemⅰc Garden Hの仲本いつ美さんが事前学習・集落民泊・外来種防除体験などを組み合わせた環境プログラムを紹介した。

 西表島からはJTEF西表島支部やまねこパトロールの髙山雄介さんが、イリオモテヤマネコの交通事故防止を目的とした、地域と協働で行う夜間パトロールと交通調査について報告。夜間は地元の車両が80%を超え、レンタカーより島民の方が速いという。島民への普及啓発のため、シンポジウムや子どもたちへの出前授業、冊子配布などを行っている。その成果もあり、年々速度は低下傾向にあるという。

 このほか鹿児島大学、世界自然遺産推進共同体(奄美)、世界自然遺産推進共同企業体(沖縄)の活動報告もあった。

 地域間意見交換では、「活動報告が参考になった」「個別の活動を観光客や地元住民にどう伝えていくか」「規制ルールが増えており、そればかりだとネガティブになるので、伝え方が難しい」「これまで研究として取り組んできたモニタリング調査を、持続可能なように地域住民と連携して一緒にできないか」などの意見や悩みが挙がり、関連団体からアドバイスなどがあった。