「津之輝」収穫開始

奄美市住用町の元井農園で始まった「津之輝」の収穫作業

 

人気かんきつ、お歳暮需要取り込む
住用・元井農園

 

 年内で収穫できる新かんきつ「津之輝=つのかがやき=」の収穫が4日、奄美市住用町の元井農園で始まった。柔軟多汁の果肉はゼリーのような「つぶつぶ感」が特徴。同園では直接消費者に届ける直販に取り組んでいるが、お歳暮需要を取り込み既に注文を打ち切るほどの人気となっている。

 2月が収穫適期のタンカンに近い食味がある津之輝は年内(適期12月)で収穫でき、地元市場でも入荷が待たれている。栽培地として下場(平場)が推進されており、元井農園でも国道沿いにある果樹園で栽培。植栽面積は約100㌃あり、このうち70㌃植栽している上役勝の果樹園で収穫スタート。先月20日の品質調査で糖度は11度以上に達していた。雨天を避けて収穫開始し、4日間で終える予定で、1週間程度予措=よそ=(果皮を乾燥させるための貯蔵方法)後、15日以降に出荷予定。

 長年の安定したタンカン栽培により全国に顧客を持つ元井農園。「食べたことのない味。糖度が高くジューシー、軟らかくプチっとした果肉が印象的」として津之輝にも多くの注文が寄せられており、お歳暮用で10~20箱とまとまって注文する顧客も。直販を主体にJAにも出荷しているが、元井孝信さんは「今期かんきつは裏年に当たる。津之輝も隔年結果となっており、着果量に差がある樹木が見られる。収穫量は前年の半分程度(8→4㌧)になるかもしれない」と見込む。

 収量の安定で課題となっているのが生理障害。果皮にチョコレート状の色がつく場合があり、食用にできないことから落果させている。また、水分管理が問われる裂果もこれまで研究機関などから「果皮を厚くすれば防げる。2Lの大玉サイズまで肥大化を」と呼びかけられてきたものの、大玉の中にも裂果が見られ、引き続き課題だ。

 元井さんは「津之輝栽培に取り組んで5年目で、生理障害に直面しているが、販路でお歳暮需要があるのは魅力。消費者の期待が大きいだけに、生産者は腐敗果を混入させないよう、収穫後の予措期間を徹底しなければ信頼を失ってしまう」と指摘する。