県議会一般質問

全国172カ所のラムサール条約湿地の潜在候補地の一つに選定されている奄美市住用町のマングローブ湿地帯

キビ増産基金継続予算盛り込み
住用マングローブ ラムサール条約湿地の潜在候補地

12月定例県議会は7日、引き続き一般質問があり、松里保廣議員=自民党、西之表市・熊毛郡区=、郷原拓男議員=自民党、鹿屋市・垂水市区=、禧久伸一郎議員=自民党、大島郡区=、白石誠議員=自民党、薩摩郡区=が登壇。サトウキビ作のセーフティーネットの基金として2019年度から3年間延長された増産基金は21年度末(22年3月末)に期限切れを迎えるが、国の22年度予算概算要求で同基金の継続に必要な予算が盛り込まれていることが報告された。

松里議員は「キビ作は熊毛・奄美地域全体の7割の農家が生産する基幹作物。期限切れを迎える増産基金の継続を、国に強く働きかけを」と注文。松薗英昭農政部長は答弁で「引き続き台風、干ばつ、病害虫発生などからの生産回復に向けた取り組みを支援することは必要であり、増産基金の継続に必要な財源確保が図れるよう県開発促進協議会等を通じて国に要請を行っている」と述べ、国の来年度予算概算要求に基金継続に必要な予算計上を明らかにした。

国の糖価調整制度の堅持に向けた取り組みについて松薗部長は「制度に基づく生産者交付金は生産者の生産コスト、製造事業者の製造コストを補てんするものであり、最近のサトウキビ販売代金等を考慮して国が決定している」と説明した上で、生産者や製造事業者が意欲を持って取り組めるよう再生産可能な水準の確保について県開促協などを通じ国に要請しているとした。

禧久議員は奄美市住用町にあるマングローブ湿地帯の位置づけを質問するとともにラムサール条約(国際的に重要な湿地)への登録を提案。松下正環境林務部長の答弁によると、マングローブ湿地帯は17年3月、奄美群島国立公園の特別保護地区に指定され、今年7月に登録された世界自然遺産では緩衝地帯に含まれている。

松下部長は、湿地帯を含む地域は「マングローブ樹種の重要な分布地であり、多様な動植物の生息生育地等であるとして10年に各分野の専門家で構成する国の検討会で、国際的に重要な湿地の基準を満たすとして全国172カ所のラムサール条約湿地の潜在候補地の一つに選定されている」と述べ、潜在候補地を条約湿地へ登録する手続きとして▽地元市町村の要望に基づき国が基準への適合を確認、関係機関が連携し湿地の範囲設定等の調整や国内法で保全を行う▽県や市町村の賛意を得て国が官報告示とラムサール条約事務局への通報を行い、同事務局で登録―という流れを説明。地元市町村への働きかけ、連携について塩田康一知事は「まずは奄美市の方で地元での機運醸成を図られ、要請があった場合は登録に向けて必要な協力を県としても行っていく」との考えを示した。

荒天時に定期フェリーが入港できない抜港が続く与論港の整備は兒島優一土木部長が答弁。過去の抜港や欠航における風速や波浪状況などの確認調査を進めており、「今年10月には定期フェリーの船社と11月には与論町との意見交換を行い、抜港時の影響や防波堤など港湾施設の配置についてさまざまな意見を交わした」と説明し、抜港軽減に向けて調査結果および船社や地元の意見を踏まえた上で今後どのような対策が考えられるか引き続き検討していくとした。