県議会一般質問

行政デジタル化推進戦略策定
配合飼料価格安定制度 高騰で補てん額増加

 

 12月定例県議会は8日、引き続き一般質問があり、岩重仁子議員=無所属、鹿児島市・鹿児島郡区=、鶴田志郎議員=自民党、肝属郡区=、前原尉議員=自民党、日置市区=、大久保博文議員=自民党、鹿屋市・垂水市区=が登壇。行政のデジタル化推進では今年度、推進戦略策定を報告するとともに、県と市町村の情報システム標準化に向けた取り組みも説明された。

 行政のデジタル化推進は前田洋一総合政策部長が答弁。デジタルによる社会変革を実現することで鹿児島県を取り巻く課題解決につなげていくため推進戦略を策定するもの。策定にあたり県は素案を取りまとめたが、前田部長は「素案では業務プロセスの徹底した見直しや行政手続きの原則オンライン化、マイナンバーカードの普及、公共機関におけるキャッシュレス決済の導入など行政手続きの簡素化、効率化に取り組む」と述べた。

 市町村との連携は、地方公共団体情報システムの標準化に関する法律で、都道府県は市町村に対して標準化に必要な助言、情報提供を行うよう努めるとされている。県ではこれまで市町村職員を対象とした研修会実施など支援してきたが、今後、市町村の情報システムに関する現状調査を行った上で必要な支援策を検討する方針。

 マイナンバーカードを用いた行政サービスに関する説明もあった。国が進める地方公共団体の情報システム標準化の対象とする事務は転出転入届けなど住民基本台帳に関する手続きや地方税にかかわる各種申請手続きなど17事務が予定されていたが、戸籍や戸籍附票、印鑑登録の手続きの3事務が加わり現在、20事務が予定されている。前田部長は「これらの事務が全国統一の事務システムで運用されることで、マイナンバーカードを提示すれば書類提供の不要、複数の窓口で行っていた手続きが一度で処理されるなど行政サービスの利便性向上が図られる」と述べた。

 農林水産業のコスト高対策に関する質問もあった。松薗英昭農政部長は答弁で、トウモロコシなど原料飼料価格の上昇を背景に配合飼料価格が高騰している中、配合飼料価格安定制度に基づき畜産農家への価格補てん発動状況を説明。それによると2021年度は第一四半期で通常・異常補てんを合わせてトン当たり9900円、第二四半期では1万2200円交付。県内の補てん総額は第一四半期で約58億円、第二四半期で約70億円に達している。今後配合飼料価格がさらに高騰した場合、価格安定制度の補てん財源が不足する懸念や価格が高止まりした場合、発動されない場合も想定される。

 松薗部長は「国に対し県開発促進協議会等を通じて制度の安定運用のための財源確保や高止まりした場合の畜産経営の負担軽減策を講じるよう要請した」と答弁。発動が続いていることから補てん金を積み増すため、国が今年度補正予算に230億円計上していることが説明された。