伝統の「純黒糖」製造本格化

 

甘い香りと湯気を漂わせ本格化している伝統の「純黒糖」製造(伊仙町犬田布、徳南製糖)

甘い香りただよう
徳之島、製糖シーズン到来告げる

【徳之島】伝統の「さたやどり」(黒糖製造小屋)方式の黒糖生産にこだわり半世紀余―。徳之島・伊仙町犬田布の県道沿いにある「徳南製糖工場」(南郷秀一代表)では、サトウキビの圧搾汁を煮詰め職人技で仕上げる「純黒糖」の製造が本格化している。白い湯気と独特の甘い芳香を漂わせ、往来のドライバーたちにも製糖シーズンの到来を告げている。

同製糖工場は1968(昭和43)年に現在地で操業を開始。サトウキビの圧搾汁(ジュース)をひたすら煮詰めてミネラル分も濃縮する含蜜糖(黒糖)製造ひと筋に53年。原料キビの栽培過程でのCO2吸収効果に加えて、煮沸の熱源もキビの搾りかすを完全燃焼させて生物資源エネルギーに有効活用。持続可能な資源循環型の伝統産業を守り続けている。

南郷代表(70)によると、「純黒糖」の出荷先は、黒あめ、かりんとう、ようかんなどでおなじみの和歌山県内の大手老舗製菓会社などへの菓子原料用が主。前期は新型コロナウイルス経済の影響で引き合いが微減したが、全生産量の7割以上。残りは「徳之島さとうきび100%、純黒糖、開封後要冷蔵」などのシンプルなパッケージで土産用などにも直販。ほぼ並行して売り尽くされる。

「さたやどり」の伝統製法にこだわる同工場は今期に向けて圧搾機器など更新に踏み切った。二男の拓朗さん(42)が3代目後継を決意したのも理由だが、「純黒糖は、特に宣伝はしていないが、機能性など黒糖が秘めた価値がPRしてくれている」(秀一代表)との誇りもにじむ。

原料のキビは台風など気象的被害もなく「品質良好」で、操業は3月下旬~4月上旬ごろまで予定。ちなみに同島内の大型製糖工場(分蜜糖製造)の今期操業は14日から始まる。

徳南製糖(電話0997‐86‐9010)。