第1回「手々集落活性闘牛大会」

熱気に包まれた「第1回手々集落活性闘牛大会」=12日午後、徳之島町

過疎集落に熱気
地元愛好家が奮起 徳之島町

【徳之島】徳之島町北端に位置する手々(てて)集落(稲繁二区長、56世帯・93人)で12日、「第1回手々集落活性闘牛大会」(手々闘牛組合主催)と銘打った無料の“牛なくさみ”大会があった。日ごろ静寂な典型的な過疎集落を情熱的な「ワイド、ワイド」の“闘牛ばやし”と、激突を楽しむ観客ら歓声がこだました。

手々集落は、背後にアマミノクロウサギなど希少野生生物が息づく森林が迫り、前方には東シナ海の雄大な海原を望むなど大自然にいだかれた集落。世界自然遺産を構成する貴重なエリアの一つだが、少子・高齢・過疎化の波にコロナ禍も加わり、集落行事などイベントも減少にあるという。

「徳之島の伝統文化である闘牛を通じて集落を活性化させたい」と奮起。数週間前に「手々闘牛組合」を旗揚げ、第1回大会の開催に取り組んできたのは地元の闘牛愛好家(飼養者)の林山堤さん(55)と稲村保徳さん(53)の2人。

手々集落には古来闘牛場はなかった。稲村さんがジャガイモ畑を用地協力するとともに、約10日前から重機を操作して掘り込み式の「新設手々闘牛場」を設置。当初は敬老闘牛大会を予定したが間に合わずに「闘牛稽古大会および懇親会」の形に変更。集落の児童生徒や青年団員ら若い世代をはじめ、町内外の闘牛愛好仲間らにも協力の輪が広がった。

大会には老若男女の住民や観光客らも含め約250人が訪れた。アトラクションには徳之島町在住のシンガソングライター安田竜馬さん(34)が「ブルースカイ」などライブ演奏で協力。2歳牛同士の「闘将ひこ八」対「あさひトガイ」対戦で開幕。最長約7分間程度の激突でダメージを抑える「稽古」目的ながら、土煙を上げて激しく激突するなど計6組の取組で観客たちを驚かせた。

「牛なくさみ」とは古来、農閑期などに地域の有志らが無料で楽しませた闘牛大会のこと。林山さんらは「集落の活性化のため闘牛稽古場としても無料で開放したい。観光闘牛大会(要経費)には事前予約をいただければ対応したい」とも。

同集落の稲区長(68)は「手々では初の闘牛場。会場運営には小中高生や青年団など若い世代も積極的にボランティアで協力。集落活性化への大きな第一歩になると思う」と目を細めていた。