「コウシャマン」新産業へ

「コウシャマン」栽培の現状を確認する東京農大教授と生産者

大和村戸円の農園 東京農大教授招き勉強会
在来種特性と伝統文化生かす

 奄美に馴染みの「コウシャマン(山芋)」を、将来的に新産業として確立するための勉強会が18日、大和村戸円・福本建設㈱(福本剛敏代表取締役)の管理する農園と同事務所であった。産業として展開するには、奄美在来の赤山芋の特性を生かすと同時に、新品種の可能性を探ることが必要で、事業の方向性とビジョン作りが重要とした。

 同勉強会は奄美ソーシャルビジネスオフィス(合)鈴木進一代表の企画で、東京農業大学・志和地弘信教授と菊野日出彦教授、㈱グリーンストア・里綾子代表取締役社長と里葉子副社長、生産者の福本裕三子さんら3人、社会福祉士の原口洋一さんの計9人が参加。

 同社の畑には現在、山芋(在来5種・新品種4種)と外来のキャッサバを試験栽培している。東京農大の両教授は、土壌や日照など多角的な見解からアドバイス、「有機物不足のため堆肥投入での土壌改良と、日照不足」を指摘。また、ツルが少ないと栄養分が不足するとし、「台風前に十分にツルを絡ませる」ことなどを提言した。

 意見交換会では、宮古島(沖縄県)での山芋の栽培から商品開発までの取り組みを菊野教授が説明。地域特性や文化に合わせた産業づくりが重要とし、「奄美で食の伝統文化として根づいている在来種の赤色コウシャマンは、大きな武器になる。伝統を守り、いかに活用するかが大事」と提起。山芋を原料にした新商品を模索しているグリーンストア里社長も、「コウシャマンの栽培が軌道に乗れば、加工から販売までいろいろな可能性が広がる」と新事業としての期待を述べた。

 ポリフェノールがたっぷり含まれ、心臓病や筋肉老化対策にも有効だという在来の山芋。だが、苦味が多いため特産物として売れ行きは伸びてないという。鈴木さんは「生産者、加工業者、販売会社、そして地域と行政、一体となって新しい産業確立のためのビジョンを作り、共有化しなければならない」とし、この会合が次へ向けてのステップになって欲しいと述べた。