世界自然遺産の山々を望み設営されたキャンプサイト=18日、天城町三京集落
アートと融合させたキャンプファイヤーコーナーも
地元物産コーナーには計11ブースが出店
【徳之島】「人と人とを結び合い、想いが重なり合う所に新たなパッション(情熱)は生まれる」―。奄美・沖縄世界自然遺産を構成する徳之島のほぼ中央部の〝へそ〟的位置にある天城町三京(みきょう)集落(34世帯・80人)で18、19日、「タルマ満月祭」と銘打った初イベントがあった。キャンプサイトの灯りが揺れるなか現代アート展示、ミュージック・DJや島唄の演奏、地場産品販売などで交流の輪を広げた。
会場は、アマミノクロウサギなどの生物多様性を育む森林が見渡せる三京集落の高台にある「森と海の藝術楽校」周辺。仕掛人は徳之島町の自由業・郷奈津美さん(37)ら島内の仲間たち。キャンプ参加の有無に関わらず「ここに集う全員がhub(中心)となって新たなコミュニティーを生み、心地よい循環を。島の豊かな自然と満月の下、この島に暮す喜びをより実感しよう」などがコンセプト。
ゲストも「偶然の出会いと意気投合。三間(さんま=時間・空間・仲間)の法則がそろえば何でもできる」のノリで島内外に広がった。大阪で現代美術館主宰の芸術家による茶会、パリ・コレ参加のヘアアーティストによる島内漂着物アート、神戸大准教授出題の数学遊び、ヨガ実演などコーナーも登場。
3町からは農産物や加工食品など計11ブースが出店。夜は満月の月明かりの下、家族連れなど島内外の計15組・約40人がこの冬一番の寒さのウインターキャンプを体験。日ごろ静かなミニ集落に若者たちの歓声がこだました。
「トークライブ」には、世界自然遺産の環境を生かした三京集落「グランピングリゾート地」化を提唱している鹿児島大名誉教授の小原幸三さん(70)も参加。今回の交流イベントを例に「いろんな人たちが三京に集まって、得意なものをコラボさせて地元と共有。新しいものを生み出すことは大事」と強調。小原さん自身も近く同地に転居予定という。
同集落の豊村祐一区長(66)も「世界自然遺産の山々を前に、満月の月明かりの下のキャンプも感動的だった。人々が集うグランピングリゾート地化もぜひ実現したい。今回はその第一歩にもなったと思う」と話していた。
【グランピング】「グラマラス」(豪華)と「キャンピング」を合わせた造語。〝贅沢にキャンプを楽しむ〟アウトライフ・スタイルとして再び世界的に関心が高まっている。豪華リゾートホテル追求のみではなく、さまざまな自然環境のふところに溶け込み、気軽に楽しむための新しいリゾート・スタイル。