トクノシマトゲネズミの死骸7個体(提供写真)
天城町与名間林道 損傷部からネコのDNA
「飼い猫適正飼養を」
国指定天然記念物で、徳之島にしか生息しない国内希少野生動植物種の「トクノシマトゲネズミ」7個体の死骸が、同島北部の天城町・与名間林道で相次いで見つかったことが23日、明らかになった。死因を調べていた環境省(奄美群島国立公園管理事務所)は同日、遺伝子検査の結果から「ネコによる捕殺と推測される」との見解を発表した。
環境省(同)と徳之島管理官事務所によると、10月27日に同林道通行中の住民からの情報を受け、環境省職員が現地調査、林道上約750㍍区間で死亡したトクノシマトゲネズミ7個体を発見した。うち3個体は体の大部分または一部が欠損、他の4個体に体の欠損はなかった。すべての個体に出血を伴う皮膚小孔(咬傷痕)が確認された。
国立環境研究所に遺伝子検査を依頼したところ、咬傷箇所周辺の毛からネコの遺伝子が検出された。また後日、同林道で捕獲されたネコの糞からトクノシマトゲネズミの毛を発見。死体発見時の状況、遺伝子検査の結果及びネコの糞情報から環境省(同)は、ネコによる被害と推測した。
徳之島管理官事務所の福井俊介さんによると、昨年9月にも同種の死骸1個体を確認したが「今回のような多数の確認は非常にまれなケース。飼い猫の適正飼養が必要」と話した。また、NPO法人徳之島虹の会の美延睦美事務局長は「今後も林道などのパトロールを継続していく。2年前はノライヌによるアマミノクロウサギ捕食の事例もあった」と危機感を訴えた。
環境省(同)は、「引き続き関係機関と連携し、モニタリングや捕獲などの対策を進める」とし、地域住民へ一層の適正飼養を呼びかけている。