九州一の滝を船上見学

船上から見た「クルキチの滝」

九州一の滝を見学した子どもたちと保護者

名瀬小湊集落「地域おこしにもつながる」

今年10月に九州一の落差が確認された通称「クルキチの滝」(奄美市名瀬小湊地区)を地域内外に知ってもらおうと、同小湊集落は26日、地元の小中学生や住民を招いての船上見学会を行った。船上から巨大な滝を目の当たりにし、見学者らは大自然のつくり上げた造形美に見入った。

見学会は、市の推奨する「元気・魅力づくり応援事業」の一環。町内会の栄嘉弘会長(67)によると、「九州一の滝をまず地元住民に見てもらい、そして内外に周知できたら地域おこしにもつながる」と、同集落が企画。小中学生・専門学校生・住民など約120人を4回に分けて出航した。

同滝は地元の漁師などにはその存在が知られていたが、海に流れ落ちる滝壺が沿岸の岩場になり、立ち入ることが困難な場所。写真家の浜田太さん(67)のドローン撮影を受け、市の現地調査や衛星測量により、落差181メートルと公式発表。「確認できる滝の中では九州一ではないか」とした。

初回の船には、小中学生と保護者など約30人が乗船。才秀樹船長(48)の運転する船は小湊漁港を出発、ナーツ崎を周回し、イショビラ海岸・クルシ(黒岩)などを右手に進み、約20分で滝のある「クルキチガマ」に到着した。

滝の形状は、流れ落ちる水が岩にぶつかり段を作って落下する「段瀑」、途中の岩から分かれて落ちる「分岐瀑」、水が直接海に落下する「海岸瀑」、と181メートルの全長に様々な形態。その全貌に見学者は歓声をあげた。

福本うた子さん(68)は「至福の時。こんな貴重な企画をしてくれたことに感謝している。たくさんの子どもたちに見てほしい」と小雨に濡れながら喜んだ。

小学生の牧岡獅穏=しおん=くん(9)は家族4人で見学、「九州一の滝を実際に見れてうれしい。マテリアの滝は見たが、こんな大きな滝は初めて」、弟の悠真くん(4)は「旅に来たみたい。まるで冒険気分!」と興奮気味に話した。

栄会長や才船長をはじめ、朝からテント設営などの準備を進めた町内会や地域住民も、子どもたちの喜ぶ姿に頬をゆるめ、「九州一の滝のある集落として認知度をあげていきたい」と船上見学会を振り返った。