待ちに待ったクジラの姿に歓声

クジラの雄姿に釘付けの参加者ら


豪快な水しぶきに歓声があがる

小湊町内会ホエールウォッチング体験ツアー

 ザトウクジラの来遊の季節を迎えた年明け4日、奄美クジラ・イルカ協会(興克樹会長)では、協会加盟船が港を利用させてもらっている奄美市名瀬の小湊町内会を招待、ホエールウォッチング体験ツアーを開催した。出港予定の午前9時には、大勢の地域の人たちが集い「マリンスポーツ奄美」所有の2隻に乗船、クジラを求めて北と南に船を進めた。

 奄美大島では1月から3月までが来遊のピークを迎え、協会加盟船がホエールウォッチングツアーを実施している。実際にクジラが来遊する姿を見て、奄美大島近海の価値や、ツアーへの理解を深めてもらおうと、毎年実施。この日は寒いながらも天候に恵まれ、参加者46人は乗船前に検温し、救命胴衣を着用、才秀樹船長からザトウクジラに関する説明を受けた後、9時半に港を出港した。

 ポイントに到着すると、才船長の「ブローが見えた」の言葉を合図に参加者らは船の先端に集い、遊んでいる二頭のクジラの様子を観察した。ブロー(水面で呼吸するときの噴気)が上がるのを目撃すると、参加者から歓声があがり、船近くに現れるその大きさに驚きながらも、携帯カメラ(スマートフォン)などで思い思いにクジラの雄姿を収めていた。

 今回初めて参加したという久保優彩(ゆい)さん(大川小学校4年)は、「迫力があって楽しかった」と話し、友達3人で参加していた小杉琉斗さん(大川中学校2年)は「初めてクジラを見ました。クジラが水面に現れてくる時の音や波しぶきが凄かった」と感想を話した。

 三人の子どもたちと参加した牧岡絵利子さんと、獅穏(しおん)くん(9)、悠真(ゆうま)くん(4)、陽翔(はると)くん(3)らは、「今まで見た中で一番大きかった」「すごかった」と目を輝かせていた。

 興会長によると、1月から3月31日までが、来遊のピークで、ツアーもその時期がメイン。ほとんど毎日見ることができる。1月は南下し、2月は北上する群れと南下する群れが入り交じるという。「生まれて一年の子ども連れの母子も多く、島沿いの波が穏やかな場所が、まだうまく呼吸できないこどもの練習場所にもなっているのでは。クジラの情報を共有し、どの船に乗っても楽しめるよう、また、クジラにストレスを与えないような優しいツアーを心掛けている」。

 昨年はコロナ禍もあり、前年より落ち込んだが、キャビン内を密にならないよう気を配り、景気回復を期待している。

 この日は、成体2頭群を確認、ちょうどクジラたちの休憩時に出くわし、仲良く周遊する姿が目撃された。ペックスラップ(長い胸びれを水面にたたきつける)、ペダンクルスラップ(尾びれを激しく横なぐりに打ち付ける)なども数回見ることができた。