今年の新糖作りスタート

色々な黒糖の味が楽しめるのも人気。袋詰めも大忙しだ

龍郷の水間製糖 毎日違う味店頭に並ぶ

 まだ暗い午前3時、サトウキビをしぼる圧搾機が回り始めた。龍郷町中勝の水間黒糖製造工場(水間範光代表・60)の朝が明ける。7日から、今年の黒糖作りがスタートした。1985年(昭和60年)創業、今年で37年を迎える。本茶トンネルの開通を機に、先代がルート58号沿いに開業した。

 二代目の範光さんは26歳で脱サラ、先代を手伝いこの道に。先代が病に倒れてからは一人でしぼり汁を煮詰めた。日にサトウキビ1㌧~1㌧半をしぼる。水分を飛ばし、食用石灰を入れ、黒糖を作る。石灰の分量は、キビの状態で判断、長年の勘が頼りだ。煮詰めた汁は90㌔から100㌔の黒糖になる。午前中かけて煮詰め作業、午後は、農家にサトウキビを受け取りに走る。広げて冷ました黒糖を切り分けるのは妻の智穂子さん(59)らが担当する。炊きあがったばかりの黒糖の甘い香りの中、黙々と作業が進む。

 昨年、息子の光亮(こうすけ)さん(30)が島に戻った。今は三代目として、一緒に黒糖づくりに携わり、店を盛り上げている。黒糖の味は、サトウキビの育った土地柄によって変わるという。毎日違う味の黒糖が店頭に並び、地元や観光客がひっきりなしに訪れ買い求める。スタッフ4人という小規模ながら顔の見える黒糖は、都会からのリピート電話注文も多い。「コロナ禍で観光客が減ったときは地元の人たちに助けられた」と範光さん。地元に愛される島の味が、三代目にも受け継がれていく。

 この日は、孫の湊(かなで)くん(朝日小1年)もハサミを手に父親のかたわらで楽しそうに作業の手伝いをしていた。操業はサトウキビの糖度をみながら7月上旬までの予定。

 販売は午前8時30分~午後6時まで。月曜定休。電話0997(62)2431。