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2年ぶり開催となった「第7回デイ文化祭」の表彰式。盛谷会長らが事業所を訪問して行った
コロナ禍で2020年度は開催が見送られた「デイ文化祭」。奄美大島介護事業所協議会の役員らは「今年(21年)は開催したい。2年連続できなければ今後の継続が難しくなる。縮小してでも、やれる方法を見出したい」として開催に向けて動き出した。各法人・事業所は介護保険に基づく在宅介護サービスを行っているが、利用しているのは介護が必要な高齢者。感染した場合、重篤化など症状が重くなる可能性があり、一つの会場で集団ができるようなイベント開催は難しい。どのような方法で文化祭を再開することができるだろう。
「デイ文化祭」には通所系の事業所が参加しており、中止となった20年度を除き、介護事業所協に所属している24事業所のうち毎回8~10事業所が参加している。2年ぶりの開催にあたり、まず参加意向を探るため事務局では会員事業所(39法人・125事業所)に参加案内を通知。その結果、8法人が賛同したことから、盛谷会長を代表に実行委員会を立ち上げ、参加法人も加わった。昨年7月末のこと。8~9月にかけて実行委では打ち合わせを重ね、10月には開催要領ができあがった。
文化祭は舞台発表と作品展示の二つの部門で構成する。主催は介護事業所協だが、奄美市高齢者福祉課も共催しており、その関係から作品展示はオープンしたばかりの市民交流センター2階マチナカギャラリーで開催することになった。
問題は舞台発表。これまでは参加事業所の利用者や職員が一堂に会して次々と舞台に上がり繰り広げた。この方法をデイケアやデイサービス利用者が「1人または複数人で歌ったり、踊ったりする」方法に見直した。発表の場も会場を借りるのではなく、各事業所で撮影した上、▽DVDにダビングし、実行委(事務局)に提出▽提出後に実行委から各事業所に配布―が具体的な実施方法だ。撮影場所は事業所内だけでなく、新施設への関心が高いことから見学も兼ねて市民交流センターも利用できるとした。舞台発表、作品展示とも実行委が採点票を集計、表彰する。採点は盛谷会長、市高齢者福祉課の課長が担当した。
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介護事業所協副会長で事務局長を兼ねる勝村克彦さんは振り返る。「当初は撮影した舞台発表を研修会などで活用しているZoom(Web会議システム)を使い事務局から配信する案もあった。配信時間を設定すればそれぞれの事業所がつながり、同時視聴で共有できる。しかし事業所の一日の業務の関係で同じ時間帯に視聴することが難しく、録画したものを事務局に送り、事務局で参加事業所分を取りまとめ、各事業所にメール送信する形にした」。
撮影された動画(舞台発表)の収録時間は5~10分程度。参加事業所分全て取りまとめても長時間ではなく、各事業所では昼食時間などに大型テレビ画面で他の事業所を含めて利用者や職員らの舞台発表の様子を楽しむことができた。また、作品展示会場にはパソコンも置き、そこでも録画された参加事業所の舞台発表が見られるように工夫した。
「利用者、職員、そして家族のみなさんを含めて文化祭開催を楽しみにしている人々がいる。舞台発表、作品展示に参加することで『みんなに見てもらえる』として利用者の意欲が高まり、喜びを感じる。意欲や喜びは大切なこと。やらないという選択はとらなかった。やってあげたいという気持ちで実行委は開催方法を話し合い、実現にこぎつけた」(勝村さん)。
発表や展示内容を採点し、それぞれ1~3位と順位をつけ、表彰で称えるのも意味がある。「今回は1位を目指そう」「頂点に立とう」などと目標を掲げ、数カ月前から準備に取り組むことで利用者・職員は一体となる。競うことは、やる気を後押しする。その結果が事業所の表彰であり、利用者・職員は準備の苦労が報われ、誇りとなる。「通常のサービス業務のプラスアルファと考えたい。通常業務を抱えながら担当する職員は大変かもしれないが、企画力や指導力などが身に付き必ず財産となる。こうした経験は通常の業務ではなかなか味わえないこと」(勝村さん)。
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ただコロナ禍を乗り越えての開催は課題も残った。これまで作品展示には介護事業所だけでなく、放課後等デイサービス(発達障がいなどを抱える児童生徒が放課後や夏休みなどの長期休暇に利用できる福祉サービス)を実施している事業所からの参加もあった。高齢者、子どもたちの作品が並ぶことで世代交流の場となっていた。2年ぶりの開催では途絶えてしまった。放課後デイの事業者に働きかけ理解のもと、再び実現することを願いたい。
また、通所系でも参加事業所が毎回同じと固定化される傾向にある。「歌や踊りの発表、作品づくりは事業所内の行事としてやっている。あえて参加しなくても…」というのが理由だ。勝村さんは語る。「イベントや研修会などを共同開催するのは奄美大島の介護事業所協ぐらいと言われている。イベントは一つの事業所で取り組むより多くの人が見る共同開催にすることで、達成感や喜びが倍増する。他の事業所と交流するとともに競い合うことは、やる気につながる。今回、作品展示はオープンしたばかりの施設を利用したが、こうした公共施設を利用できるのも複数の事業所だからであり、一つの事業所では困難。公共施設は多くの市民が利用する。作品がたくさんの人の目に留まる。まさに社会参加の機会となる」。
感染拡大への警戒からさまざまな制限により自粛、活動見合わせなどが優先されてきた。感染対策を万全にしながら、ICTなどを活用し日常を取り戻す姿勢や実行があってこそ両立が見えてくる。
(徳島一蔵)