小正月前日の14日は「ナリムチ」

色鮮やかな「ナリムチ」を並べ、販売している店内(中原商店)

奄美市名瀬 早くも店頭に並ぶ
「稲の豊作」「商売繁盛」「家内繁栄」など祈願

 小正月(1月15日)の前日に当たる14日に「ナリムチ」の慣習が残る地域がある。奄美大島の北大島、徳之島の一部地域で行われている伝統行事。ブブ木(リュウキュウエノキ)の枝に4色(赤、白、黄、緑色)に着色した餅を、花に見立てて細工し、自宅の床の間、仏壇、玄関などに飾り、墓に供える。奄美市名瀬の商店によると、早くも8日から店頭に並び、販売されている。

 改訂名瀬市誌3巻民俗編には「新年の豊作を予祝する、いわゆる予祝行事であるが、『南島雑話』にも記事は見えない。おそらく鹿児島からの新来の行事で、一般に定着しなかったのであろう」「名瀬では14日に餅をついて、黄金がなるというのでブブ木の枝に小指の第一関節くらいの大きさに切ってつけ、部屋の隅々に挿す。この日は墓にもこれを持っていって生ける」との内容の記載がある。

 龍郷町誌には「ナリムチのいわれは、木についた餅のようにと、稲の豊作を祈願するとともに、商売繁盛、家内繁栄などを祈願するものといわれている」などと記している。

 名瀬井根町の中原商店(中原一成代表)では、8日から大小のナリムチを販売。今年は店の隣りの建物の1階スペースを借りて展示場、作業場に活用していた。中原代表(69)によると、大・中は店用、小は自宅用や墓用として買い求める客が多い。9日正午前に同店へ行くと、ナリムチなどを買い求める客が来店していた。