「特定地域づくり事業協同組合」活用考える

特定地域づくり事業協同組合を活用した地域活性化策について意見を交わしたパネルディスカッション=13日、知名町フローラル館=

過疎地域の働き手確保へ
沖永良部でシンポ開催

【沖永良部】過疎地域での人材確保を後押しする国の制度「特定地域づくり事業協同組合」について考えるシンポジウムが13日、知名町フローラル館であった。パネルディスカッションでは、県内で最初に設立された特定地域づくり事業協同組合「えらぶ島づくり事業協同組合」の関係者ら6人が登壇。地域活性化に向けた組合設立のメリットや人材確保における課題について意見交換した。

特定地域づくり事業協同組合は、季節ごとの労働需要に応じて複数の事業所で働くことができるマルチワーカーを派遣する制度。シンポジウムは、県内自治体に対して組合設立への機運を高めてもらおうと、県中小企業団体中央会が主催した。オンラインも含め約150人が参加した。

講習会で、総務省自治行政局地域自立応援課地域振興室の岩田真奈課長補佐が、特定地域づくり事業協同組合の概要や最近の設立事例を紹介。えらぶ島づくり事業協同組合の金城真幸事務局長は、組合設立の経緯などを説明し、昨年から勤務している派遣職員の様子を動画で伝えた。

パネルディスカッションは「特定地域づくり事業協同組合を活用した地域活性化策について」をテーマに行われ、パネリストとして岩田課長補佐と金城事務局長、えらぶ島づくり事業協同組合派遣職員の木内七海さん、おきえらぶフローラルホテルの中川陽一支配人、組合設立に関わった和泊、知名両町の役場職員の合計6人が登壇した。コーディネーターは県中小企業団体中央会連係情報課の坂本和俊課長が務めた。

組合の派遣職員としてフローラルホテルで勤務する木内さんは「引っ越しなどの初期費用が高額だったが、組合の福利厚生がしっかりしていたので移住を決断できた。組合を通して活動を広げながら島のことをもっとよく知りたい」と述べた。

組合を活用した地域活性化について金城事務局長は「移住者にとって島外から来て事業者に直接雇用してもらうのはハードルが高い。組合が受け皿となって相性の良い事業者を探すことができる。予算等の関係で派遣職員数を一気に増やすことは出来ないので、今後は有料職業紹介事業に取り組んでいきたい」と語った。

最後に岩田課長補佐は「単純な労働力の確保と考えないことが制度の成功につながる」とアドバイスし「地域づくりを任せるくらいの期待を持って移住者の採用に臨んでほしい」と話した。

14日は、えらぶ島づくり事業協同組合の組合員となっている知名町のおきえらぶフローラルホテルと和泊町の沖フラワーの2カ所を視察。参加者は、企業の代表者に組合加入のメリットを聞いたり、派遣職員から島での生活について聞いたりしていた。