いち早く全員避難

国直集落住民全員が避難した「国直サンセットパーク」

津波警報で国直集落 集落民が協力し合い

南太平洋トンガ諸島の海底火山噴火の影響で奄美大島に発令された津波警報に、多くの島民が眠れぬ夜を過ごした。避難地や自宅で不安を抱えながら16日午前7時半、「津波警報」が「津波注意報」に変わると島民は安堵した。避難指示の呼びかけに戸惑う住民の多いなか、大和村の国直集落(村上恵子区長)はいち早く対応。地域住民が互いに協力し合い高台に避難、全員の安否を確認した。

同津波警報で多くの地域に避難指示が出されたが、奄美では地域住民全員が避難したのは国直集落のみ。村上区長によると、同集落住民は普段から災害などに対する意識が高いという。「警報が出た時も、誰の先導でもなくみんなが声を掛け合い、冷静に対応していた」「自分の不安よりも、他者を気遣うみんなの行動が素晴らしかった」と話した。

52世帯、住民110人の同集落。2階から降りるのが困難な老夫婦など2世帯は自宅待機、他の住民は車で県道沿いの「国直サンセットパーク」(海抜30メートル)に移動した。警報から約1時間で全員の避難が終了。自宅で待機する2世帯の緊急時に備え、避難場所ではすぐに救出できる態勢を整えていたという。

避難者らは夜が明け始めたころに少しずつ自宅に帰り始め、警報が解除になった7時半には全員が帰宅した。それを確認後、村上区長も家路についた。「災害は突然やってくる。思ってもない問題に対応するには地域住民の協力が必要。そのためには日頃からの人付き合いと、防災意識が大切。国直集落はその両方がある」と、今回の避難行動を振り返った。