40年越しの夢を叶えカフェ「安処」をオープンした中原さん夫婦と愛犬マロ
龍郷町芦徳で中原隆幸さん、雅美さん夫婦が営業するカフェ「安処=あしょ=」が、貴重な憩いの場として評判になっている。長年の夢をかなえようと、二人で店舗を手作りで建てた。木々など自然に囲まれた静かなロケーション、サイフォンでいれるこだわりのコーヒーが人気で、中原さん夫婦は「癒されに来て」と仲良く声をそろえている。
カフェは芦徳公民館の脇道を少しのぼった山裾にあり、昨年11月6日にオープン。鹿児島市天文館にあるカフェで従業員として知り合った二人は結婚後、40年前に奄美大島に移住。25年前には同集落に移り、これまでは隆幸さんが運営する自動車運転の代行業で生計を立ててきた。
カフェの経営にあこがれ始めたのは40数年前。二人が一緒に働いていたカフェを思い出に「いつか店が持てたら」と将来の夢を定めていた。店舗作りは10年前に開始。自宅の一部取り壊し、そこに被さるように建物を設計し、代行業の合間をみては壁や床、家具を手作り。日曜大工をコツコツと繰り返し、黄色い壁面と茶色の柱のコントラストが印象的な木造平屋に仕上げた。
店名は、安らぎのゆったりできる場所でありたいとの願いを込め、集落の呼び名「あしょ」を絡ませてつけた。メニューは、お薦めのマンデリンを始め4種のコーヒーに、ピザトーストやケーキなどの軽食を提供。テーブル、カウンターを含む16席の店内は、人里離れた静かさと木の温もりに満ちている。
オープン以降、自然あふれる静かなカフェは評判を呼び、客は奄美大島各地から足を運ぶようになった。コロナ禍で出歩けない観光客が毎日のように訪れ、ワーケーションの場にも。二人は「ゆっくりしてもらえているのが何より」と喜んでいる。
集客にあたっては集落住民や近くのホテル、飲食店らも尽くしてくれた。隆幸さんは「同業者でも情報を共有しあったりと助け合いのある集落」と感謝。今後は食事メニューなども取りそろえていく予定で、40年越しの夢を叶えた二人は「店を通してつながりが広がり深まることは喜び。集落と一緒に盛り上げていきたい」と意気込んでいる。
営業時間は午前9時~午後8時(水曜定休)。電話090―7468―4621まで。