1月感染者数900人超える

新型コロナ 爆発的感染拡大の奄美大島
会食、オミクロンなど要因か「気を緩めることできない」

年明け以降、爆発的に感染が拡大した奄美大島では1月31日までの1カ月間の感染者数が943人に上っている。市町村ごとの感染者数は奄美市765人、龍郷町106人、瀬戸内町53人、大和村11人、宇検村8人。中旬以降、徐々に感染者数は減少傾向にあるものの、奄美市を中心に、連日複数の感染確認が続いている。当初、10代、20代が中心だった年代別の感染状況も重症化リスクの高い高齢者層など、徐々に幅広い年代に広がっており警戒が必要な状況が続いている。

昨年10月3日以降感染が発生していなかった奄美市で今年初めて感染が確認されたのは1月2日。3カ月ぶりに1人の感染が確認された。4日後の6日には29人に増え、8日には過去最多の82人(速報時の人数は95人)に達した。龍郷町でも連日確認され、宇検村でも8日、同村初の感染者が確認されるなど、奄美大島全域で急速に感染が広がっていった。

爆発的な感染拡大の要因として、オミクロン株の影響と帰省客などを含めた年末年始の会食機会の増加が指摘されている。同市健康増進課の徳永明子課長は「全国的に感染者が減少、奄美でも3カ月ほど感染ゼロが続いていたことが気の緩みにつながった。人とのつながりが強い奄美の地域性も影響したかもしれない」と指摘。「接触機会が増えたところに、感染力の強いオミクロン株が入り、想像を超える勢いで感染が広がった」と分析する。

奄美大島5市町村長で組織する「奄美大島新型コロナ感染症対策本部会議」(会長・安田壮平奄美市長)は6日、「新型コロナウイルスの市中感染が爆発的に拡大している」とし、同島独自に定めた警戒レベルを最大の「5」に引き上げ、島内の医療体制はひっ迫、崩壊も懸念される状況にあるとして、最大級の警戒を呼び掛けた。

鹿児島県も8日、同島に県独自の緊急事態宣言を発令、飲食店への時短営業などを要請。奄美市と龍郷町の小中学校では、14日までの臨時休校を決定、公共施設の閉鎖は現在も続いている。

こうした感染対策徹底の効果もあり、1月中旬以降、島内の感染者数は徐々に減少傾向にあり、奄美市では29日以降、感染者数が一けたとなっている。一方で当初、10代、20代の若者が中心だった年代別の感染者は、10歳未満~90歳以上まで幅広い世代に広がりを見せており、70歳以上の感染者数は114人(26日現在)に上っている。

徳永課長は「多くの感染者が自宅待機となり、家庭内での高齢者などへの感染が拡大した」と指摘。減少傾向にある感染者数についても、「感染力が強いだけに気を緩めることはできない。これまで通り、徹底した感染対策を行ってほしい」と呼び掛ける。

島内に無料のPCR検査場所が設置されていることについても「少しでも感染に不安を感じる人は、PCR検査を受けてもらいたい」と話し、発熱やのどの痛みなどの症状がある人に対しては、「体調がおかしいと感じた時は無理をせず、できるだけ人との接触を避け、発熱外来など医療機関を受診してほしい」としている。

また、2月から一般高齢者の3回目のワクチン接種が開始されることから「感染予防のためにも、できるだけ多くの人に接種に行ってもらいたい」と話している。