オンラインのシンポジウムで意見発表する安田市長
「豊かな自然を地域活性化に生かす」ことをテーマとした大正大学(東京都)地域構想研究所のシンポジウムが5日、テレビ会議システム「Zoom」を使ったオンラインで開催された。奄美市の安田壮平市長が参加し、昨年7月に世界自然遺産登録された奄美の取り組みなどを発表した。
シンポジウムには安田市長のほか、沖縄県国頭村の知花靖村長、屋久島町の荒木耕治町長、兵庫県豊岡市の中貝宗治前市長、新潟県佐渡市の渡辺竜五市長らが出席。それぞれの自治体や地域での取り組みを発表、「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」の世界自然遺産登録を契機に、アドベンチャーツーリズムや希少種の保護など、自然と地域社会の共生について議論を深めた。
安田市長は、世界自然遺産登録に向けた奄美大島5市町村と民間企業などの連携や奄美の環境文化を活用した観光振興策を紹介。希少種保護パトロールや市道三太郎線でのナイトツアー利用ルールの試行などの取り組む一方、アドベンチャーツーリズムとして体験型観光を推進していることなどに触れ、「豊かな自然環境を保全し、次の世代に継承するとともに、豊かな地域づくりを官民団体が一丸となって推進していきたい」などと述べた。知花村長も沖縄島北部の環境保全と地域振興の両立を目指した取り組みなどを紹介した。
また、1993年に国内最初の世界自然遺産となった屋久島の荒木町長は、登録後、観光客が大幅に増えたことで、縄文杉などを見ようと登山客が激増、路上駐車や交通渋滞などのオーバーツーリズムが問題となったことに触れ、一般車両の乗り入れを規制するなどの対策を行っていることなどを紹介した。
このほか、中貝前豊岡市長と渡辺佐渡市長はそれぞれ、コウノトリとトキの繁殖、飼育に取り組んだ実績などから豊かな自然を生かした地域創生の重要性などを指摘した。
シンポジウムにはこのほか、同大の高橋秀裕学長や国際自然保連合(IUCN)事務局担当者らも出席。同大地域構想研究所の岩浅有記准教授は「アドベンチャーツーリズムは、自然保護のためにある。目的ではなく自然保護の手段と考えることが必要」などと指摘した。