喧騒の市街地河川に「クロツラヘラサギ」飛来

喧騒の市街地を流れる河川に飛来した「クロツラヘラサギ」=5日午後5時すぎ、徳之島町亀津「大瀬川」で

徳之島町「大瀬川」

 ○…車両や買い物客の往来など喧騒の絶えない徳之島町亀津市街地を流れる「大瀬川」(県2級河川)に5日夕、絶滅危惧種の世界的珍鳥「クロツラヘラサギ」(コウノトリ目トキ科)1羽が飛来。サギ類に交じって仲良く水中の小動物を漁っていた。

 〇…クロツラヘラサギは東アジアにのみ生息する世界的な絶滅危惧種。国際自然保護連合(IUCN)のレッドリスト、また環境省同も絶滅危惧種(ⅠB類)に指定している。徳之島の飛来地としては同島北西の天城町浅間海岸(干潟)がおなじみ。今冬も約5羽が確認しているが、東海岸にそそぐ「大瀬川」への飛来確認は2年ぶり。

 〇…「おそらく、浅間海岸で越冬中うちの1羽(若鳥)だけが強い北風を避けて、河川のカニ類などを捕食するために移動したのでは?」と話すのは、同町亀津の野鳥写真愛好家、指宿安夫さん(74)。

 〇…喧騒(けんそう)の絶えない市街地内の河川だが、堤防が死角となって野鳥たちの〝安心感〟を誘っている様子。河川内をのぞきこみ、注意深く観察すると、独特の黒い顔とへら状に長いくちばしで、コサギやチュウサギなどとは識別できる。「世界自然遺産の島」ならではの〝身近な光景〟の一つだ。