金・銀・銅賞の受賞品(大島支庁本館2階で展示されている)
群島タンカン品評会の審査の様子(提供写真)
2021年度奄美群島タンカン品評会(奄美群島農政推進協議会、JAあまみ主催)の審査結果が9日、発表された。階級ごとに金・銀・銅賞(各1点ずつ)が選出され、最高の金賞はL階級が㈱カイセイ(奄美市)、2L階級は玉野公和さん(大和村)が受賞。玉野さんは標高の関係で寒暖の差がある同村の福元地区で栽培しており、前年度に続き同地区産の品質の高さを示した。
群島におけるタンカンの一層の生産振興と高品質果実生産によるブランド確立を図るため開催。8日に品評会が行われたが、奄美大島での新型コロナウイルス感染拡大が続く中、影響を考慮し非公開となった。
奄美大島(奄美市16点、大和村12点、宇検村6点、瀬戸内町同、龍郷町2点)、喜界島(2点)、徳之島(徳之島町12点、伊仙町2点)から計58点(L階級29点、2L階級29点)の出品があり、出品数は前年度(51点)を7点上回った。県土地改良事業団体連合会(土改連)大島事務所の会議室が審査会場となり、県農業開発総合センター大島支場の尾松直志支場長を審査委員長に県、JAの担当職員5人で外観と内容(糖・クエン酸)を審査した。
各階級別の糖度(平均・最高)と酸度(平均)をみると、L階級=平均が糖度12・3度(前年度11・7度)、酸度1・07%(同0・95%)、最高が糖度13・5度(同12・6度)▽2L階級=平均が糖度11・9度(同11・4度)、酸度1・02%(同0・89%)、最高が糖度13・3度(同12・5度)―となり、両階級とも糖度は前年度を上回り、最高は13度を超えた。酸が残っていることから、さらに糖度の上昇が期待できる。
審査講評で尾松支場長は「21年度産は、裏年で生産量は平年より少なめだが、品質は10月後半以降、平年より低温で推移したことで、着色(紅乗り)が良好であることに加え、例年より高糖度の仕上がり。出品されたタンカンは昨年に比べ糖度が高く、適正な酸度で、全体的に高品質のタンカンに仕上がっている」と指摘している。
金賞受賞者のうち玉野さん(67)は福元地区に果樹園があるが、タンカンは約80㌃で330本栽培。水はけを良くするため傾斜を設けているほか、南西向きの果樹園のため冬場でも午後6時まで日が当たるなど日照条件に恵まれている。アデクなどを取り入れての防風林整備、薬剤散布機(SS)が稼働できるよう密植を避け、木と木の間隔をあけるなど工夫。19年度品評会の銅賞(2L)に続き、今回は最高賞を受賞した玉野さんは「出品したタンカンは標高340~350㍍の所で栽培したタンカンで、寒暖の差が高品質の果実につながっている」と語り、適地を生かした果樹園づくりが質の向上をもたらしている。
また、L級で金賞のほか、2L級で銅賞受賞のカイセイは「裏年にあたるため収穫量は若干少なめとなったが、味は例年に増しておいしく仕上がった。当農園で果樹の手入れをしてくださる志岐グループの方々の努力と農学博士号を持つ方々の指導もあり、今年のタンカンは賞をいただくことができた」と感謝している。
金賞以外の審査結果(受賞者)は次の通り(敬称略)。
【L階級】銀賞=松本幸徳(徳之島町)▽銅賞=古俣文喜(瀬戸内町)
【2L階級】銀賞=古俣文喜(同)▽銅賞=㈱カイセイ(奄美市)
【審査員特別賞】高岡果樹園(喜界町)
【奨励賞】田中幹雄(奄美市)