「うぎかさぎ」農業体験で「結いの精神」の大切さも体感。天城町立西阿木名中の生徒たち(9日)
【徳之島】天城町立西阿木名小中学校(田川俊一校長)の中学生13人のサトウキビ収穫作業体験が9日、伊仙町内であった。徳之島の経済を支えた同基幹作物の収穫作業もすっかり省力機械化(ハーベスタ収穫)されたなか、慣れないカマを手に昔ながらの「うぎかさぎ」労働を体験し、先人らが培った「結(ゆ)いの精神」にも思いをはせた。
徳之島の基幹産業の農業体験を通して勤労の尊さや生産の喜びの体得、ボランティア活動など社会奉仕の精神を養う―総合的な学習の 時間の一環。体験指導は、同校卒業生で、サトウキビ約19㌶やバレイショ約4㌶、繁殖牛などを手掛ける大規模農家・仲公男さん(65)=天城町西阿木名=が、昨年のバレイショ生産・収穫体験に続き指導協力した。
全面積をハーベスタ収穫でこなしている仲さんだが、この日は伊仙町犬田布岬近くの耕作地の一部(約2㌃)の立ちキビを後輩たちの体験用に提供。引率教諭7人を含む師弟同行で、慣れないオノを手に立ちキビの切り倒しから、全茎キビ1本ずつの枯れ葉(ハカマ)カマで落とす「うぎかさぎ」、キビ束(計約2㌧)の運び出し―までの一連の重労働を体験した。
仲さんは、製糖のほか運送、資材など地元地域への経済波及効果の大きいキビ産業について解説。そして「島の先人たちはユイワク(労力交換)の『結いの精神』で、互いに助け合って生きてきたことも知って欲しい」とも説いた。
生徒の1人・窪田雄真さん(3年生)は「初体験で楽しかった一方で、手作業の収穫はとても大変な作業と分かった。先人たちは『結いの精神』で協力し合ったこともすごいと思った。協力して物事を成し遂げることの大切さも学べた。高校生活でも生かしたい」と話していた。