奄美の地域おこし協力隊員らWEB会議で意見交換

WEB会議で行われた地域おこし協力隊員らの意見交換会

 

自治体垣根越え連携必要
「地域課題がビジネスに」

 

 奄美群島の町村で活動する地域おこし協力隊員と県大島支庁および各自治体の職員らが、それぞれの隊員が実践する地域おこし活動の取り組みや課題などを意見交換する会議が14日、WEB会議システムによるリモートで開催された。隊員らは、地域との連携や任期後を見据えた取り組みなど、現在の活動を通して感じている地域の魅力や課題を出し合い、自治体の垣根を越えた広域連携の必要性などを呼び掛けた。

 意見交換会は県大島支庁が企画。宇検村、龍郷町、喜界町、徳之島町、和泊町、知名町、与論町の地域おこし協力隊員や元隊員計12人と県大島支庁、市町村の職員ら約30人が参加。県大島支庁会議室では、印南百合子支庁長らも隊員らの意見に耳を傾けた。

 2009年度から始まった地域おこし協力隊は、人口減少や地理的不利性を抱えた地方の活性化など目的として、都市部などから人材を受け入れる制度として、各地で成功例がたくさんある一方、協力隊になった人がうまく機能できなかったり、採用された自治体との歯車が合わなかったりなどの失敗例もあるという。

 地域おこし協力隊の理想的なゴールは、任期後もその地域に残って定住することされており、意見交換会では隊員らが、①コロナ禍での活動②仕事内容③地域との連携や人間関係④(3年間の)任期後について―それぞれが感じている悩みや課題などについて出し合い、相互にアドバイスなどを行った。

 隊員からは、「コロナ禍で集落の人たちと直接コミュニケーションをとることができなくなった」(宇検村)、「自身の定住に向けた活動と隊員としての活動を両立させるにはどうしたらよいか」(天城町)、「協力隊としての任務の結果を出すにはどうしたらよいか」(和泊町)、「任期終了後も事業を継続するためにどんな準備をしたらよいか」(知名町)など、様々な課題があがり、それぞれの経験などをもとに意見交換した。

 会議では、阿久根市で協力隊員として活動、退任後も同市で古い建物や組織をリノベーション、地域再生などの活動を行っている石川秀和さんが自身の体験などを事例発表。「地域の課題がビジネスにつながり、事業を通して活動資金や人材を作り出す。稼いだお金や人が新たな地域の資源となる」などと話し、「隊員同士のネットワークをつくることで、課題解決の方法も増え、新たな地域おこしにもつながるのでは」などと、アドバイスした。