ひっそりと独特の花を開いている徳之島固有種の「オオアマミテンナンショウ」=14日、徳之島・天城町内
ひそかに開花…“観察圧力”の懸念も
【徳之島】徳之島固有種で絶滅危惧種の「オオアマミテンナンショウ」(サトイモ科テンナンショウ属)が、同島北西部の海岸沿いの緑陰でひっそりと開花。筒状の花が特徴で「世界自然遺産の島」の生物多様性を構成する仲間の一つ。一方では、知る人ぞ知る同自生ポイントへの“観察圧力”懸念も。
オオアマミテンナンショウは、環境省レッドデータブックで絶滅危惧IA類(ごく近い将来、野生での絶滅危険性が極めて高い)に分類されている。高さ約20センチ~30センチ。1~2月に「仏炎苞(ぶつえんほう)」と呼ばれる筒状の形をした花を咲かせる。
同じテンナンショウ属の同島固有種「トクノシマテンナンショウ」(絶滅危惧IA類)は島の高山部に分布するのに対して、オオアマミテンナンショウは琉球石灰岩土壌地帯に根を張るのが特徴という。島南西部の限定的ポイントで確認されていたが、約4年前、天城町内でもわずか数株の自生地が偶然確認されていた。
天城町唯一のくだんのポイントは皮肉にも観察アクセスが良すぎる道路沿いに位置。今春の確認(14日夕)ではミニ群落状に約8株が確認でき、昨春に比べてやや勢いもうかがえる。だがその一方では、狭小な自生スペースの林床内は、観察者たちのものと見られる踏圧を受け、中には茎が折れ下がってしまった損傷個体も。
自然保護などの関係者は、盗掘・盗採被害や絶滅危惧種と認知されないままの環境整備(刈り払いや除草剤散布など)による滅失被害に加え、「観光客など誘導に伴う“観察圧力”の排除対策も必要」と指摘する。