世界自然遺産会議 奄美大島部会

ロードキル対策で発生件数の報告をする環境省(沖縄奄美自然環境事務所野生生物課)

自然体験拠点の分散化目指す
クロウサギロードキル 特定区間で複数発生を確認

 2021年度奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島世界自然遺産地域連絡会議の第2回奄美大島部会が17日、オンラインで行われた。世界自然委員会からの要請事項に対する取り組みと進捗状況が、関係機関から報告された。自然体験拠点を分散化、多様なニーズに応える持続可能な観光プランなどの基本方針を示した。行政や民間機関約60人がオンラインで参加した。

 昨年7月、生物多様性が認められて4島が世界自然遺産に登録された。それにともない、世界遺産委員会から4項目(▽観光管理▽ロードキル対策▽河川再生▽森林管理)の要請があり、これらの措置の結果を新年度、世界遺産委員会に報告することになっている。今回の会合は、その進捗を確認・共有し協議するもの。

 ①観光管理について=奄美の観光地利用適正化事業で金作原・三太郎線周辺・湯湾岳などのルール試行の取り組み状況を説明。基本方針として、自然や文化の魅力を体験できる拠点の分散化で、バランスある地域の発展を目指す(県環境林務部自然保護課)。

 ②ロードキル対策=遺産地域だけでなく緩衝地帯・周辺管理地域の発生も留意する必要があるとした。アマミノクロウサギのロードキル発生件数は、個体数の増加と交通網の発達により20年から増加傾向にある。特定の区間に集中、緩衝地帯などで複数の発生が確認されている(環境省・沖縄奄美自然環境事務所野生生物課)

 ③河川再生=長期モニタリングでの河川工作物による影響把握と、住民生活(生命と財産)を守るための河川再生を目標にする(環境省・同国立公園課)。

 ④森林管理について=法令に基づき、資産価値の維持に配慮した持続可能な林業を継続。また、森林伐採後の再生の過程や、伐採前後の野生動生物の生息・生育状況の変化を調査する(県環境林務部自然保護課)。

 各要請項目の措置結果のレポートを同連絡会議は、12月1日までに世界遺産委員会へ提出する。