「環境文化」を推進力に

図表「奄美が持つ強みと弱み」(DBJ・日本経済研究所共同レポートより)

価値の維持、資源活用で活性化学ぶ
あまみ大島観光物産連盟

 (一社)あまみ大島観光物産連盟(有村修一会長)は17日、「世界自然遺産登録をきっかけとした奄美が目指す方向性~世界に誇る『環境文化』をポストコロナにおける推進力に~」と題したオンライン報告会を開催。観光、行政の関係者など約20人が参加した。報告者に日本政策投資銀行(DBJ)南九州支店次長兼企画調査課長の田中幹也さん、日本経済研究所主任研究員の西野郁夫さんを迎え、奄美大島の価値の維持、資源活用による活性化を学んだ。

 DBJとそのシンクタンクを務める同研究所による共同レポートを、地域の課題解決・活性化を専門とする西野さんが報告。①奄美大島、徳之島にしかない「環境文化」と社会環境変化による脅威②世界自然遺産登録をきっかけとした奄美大島、徳之島の接続可能な地域づくりの方向性―がそれぞれ解説された。

 「環境文化」とは「人と自然のかかわりの中で形成された風景や風土」と定義し、両島の最大の特徴・魅力であり、強みだと説明。しかし、若者を中心とした人口減少・少子高齢化などによる地域活力の低下、観光にかかわるシンボル性、魅力のわかりづらさ、または集落、市町村間のアクセス性などが課題だと指摘した。

 そして、それに対する課題解決として、①集落を主体にした自立的な取り組み②奄美全体の地域経済の底上げなどを図るための環境整備や仕組みづくり―を、併せて推進していくことが重要と指摘。両島の資源活用による活性化に向け、エコツーリズムの実現と自然と共生するブランド価値の向上を提言。インバウンド富裕層への取り組み、若者の流出を防ぐ地域産業の育成などの必要性を説いた。

 同連盟の境田清一郎事務局長は、以上報告内容を踏まえ、他にもガストロノミーツーリズム(食文化を巡る観光旅行)などの具体的な計画を挙げながら「『DBJ 奄美レポート』で検索すれば同レポートは閲覧できる。ぜひ多くの人に紹介して欲しい」と話し、報告会を締めた。

 同報告会はほかに、参加者からの質疑応答の時間も設けられた。