アマミトゲネズミ保全活動

オンラインでアマミトゲネズミの繁殖状況の報告があった

90匹が飼育下で誕生
博物館がオンライン報告

 奄美市名瀬の奄美博物館は20日、奄美大島固有種のアマミトゲネズミの保全活動を紹介する講演会を、オンンラインで開催した。同博物館の取り組みと、島外動物園での飼育や繁殖状況(生息域外保全)を、参加者約60人と共有。希少種保全の必要性をあらたにした。

 奄美の固有種であるアマミトゲネズミを島外で飼育する、いわゆる「生息域外保全」を、日本動物園水族館協会(JAZA)と環境省が2017年に始めた。現在、埼玉県こども動物自然公園・宮崎市フェニックス自然動物園・神戸どうぶつ王国など、七つの動物園で同種の生息域外保全が行われている。今回の講演会は、生息域内外の活動をオンラインで紹介し、広く同種を周知することが目的。

 同博物館の平城達哉学芸員は、重要なエサ資源のドングリ拾いのイベントを紹介。集められたドングリは島外の動物園へ贈られた。「今後も島の子どもと島外動物園をつなぐ活動を展開したい」とした。

 宮崎市フェニックス自然動物園では19年に四頭が初繁殖。以後繁殖は順調で、21年10月までに25回の繁殖と、90匹の個体が飼育下で誕生した。

 繁殖時期は10月~12月が盛んだが、夏を除きほぼ年間を通して行われ、▽妊娠期間は29日~30日▽1腹産仔数は1~7匹。習性として、▽ほぼ完全な夜行性▽木に登る▽貯食をする▽巣をつくる―などを確認した。

 埼玉県こども動物自然公園の高木嘉彦さんによると、飼育下で誕生した「第一世代」と、その子「第二世代」も順調に増えているという。「第三世代の誕生をもって飼育繁殖技術確立の目安になる」と生息域外保全の今後を述べた。

 また高木さんは、「アマミトゲネズミを通して、奄美のノネコや環境問題などを広く啓発したい」と総括した。