カボチャの栽培一本にしぼり生産に取り組む作井さん
喜界町のカボチャが好調だ。昨年、同町カボチャの生産高は初の1億円を突破し、今年も過去最高となる見込み。15年ほど前から栽培に取り組んできたJA喜界町園芸振興会会長を務める農家の作井猛さん(69)は「端境期に出荷できる強みもある。島の新たな活路として、しっかり育てていきたい」と気合を入れている。
喜界町でのカボチャ生産は、2000年に供用を開始した地下ダム事業を機に、サトウキビ一辺倒からの脱却を図ろうと始動した。町は島の重点品目に位置づけ、補助事業を立ち上げるなど園芸農家らをサポート。JAや町営農支援センターも、栽培指導や講習会を行うなど、推進には島一体で取り組んできた。
同町のカボチャ栽培は、春の「早熟カボチャ」と秋の「抑制カボチャ」にわけられる。島の気候柄、沖縄県と本土との収穫の谷間にあたる端境期を狙って出荷できることが大きな強みで、競合を避けられることで価格も安定。現在は関東方面を中心に、出荷先も広がっている。
当初は数戸だった町内の生産農家数も70戸を超えるまでに増加した。栽培総面積は30㌶を超えた。年によって変動はするが、指宿市、伊佐市などに次ぐ県内3位の産地に育ってきている。
作井さんもこれまで手掛けてきたメロンや花きの生産をやめ、カボチャの栽培一本にしぼった。ハウスと露地をあわせて栽培面積は約1・5㌶。「花きなどと比べて手間もかからず、カボチャに変えてからは管理が随分と楽になった。単価は下がったけど、利益率は高く収入も大きく変わってない」と喜んでいる。
現在、10月に植えた秋カボチャが収穫期を迎えており、作井さんの畑でも摘み出しに追われている。島内では全国からの引き合いも増えてきているというが「課題は量。安定的に取引していくためには品質も求められるだろう」と作井さん。「上手くできればカボチャはまだまだ伸ばせる。将来は有望。体力が続く限りみんなと一緒に守っていきたい」と期待している。