パキラに〝南米ざくら〟

盆栽状「パキラ」への接ぎ木の試行で開花したトックリキワタの花=19日、伊仙町阿権の勝さん宅

伊仙町の勝さん 自己流接ぎ木で

 〇…「自己流で接(つ)いだら花が咲いちゃった」―。ポピュラーな観葉植物の一つ「パキラ」の樹上に、「南米ざくら」とも称される「トックリキワタ」の淡いピンク色の花が開いた。ご当人はもちろん周りの盆栽愛好者たちを驚かせている。

 〇…話題の主は伊仙町阿権の農業勝忠信さん(72)。庭先で約30年間育てたトックリキワタは一度も花芽をつけず数年前、見切りをつけて伐採していた。だが「一度はトックリキワタを咲かせたい」と思いは募るばかりだった。

 〇…園芸が趣味の勝さんだが、接ぎ木の知識技術はゼロに等しい状態。枝の切り戻しを続けた盆栽仕立てのパキラの徒長枝を剪定し、暗中模索の自己流でその頂部をナイフで割り、トックリキワタの若木の枝をVの字に削って差し込み密着。絶電用の赤いビニールテープでぐるぐる巻きにしたのが1年前だった。

 〇…結果論ではパキラとトックリキワタは同じ「パンヤ科」の植物だった。しかし、周りの愛好者らも「接ぎ木を試し盆栽状態で開花させたケースはおそらく初では?」と驚嘆。勝さんは「接ぐ際に密着させることが大切。みんなも驚いている。これからも接ぎ木に挑戦します」と目を細めていた。