離島の医療で必要となる「仲間」づくりを学んだ(県立大島病院救命救急センター)
県立大島病院救命救急センター主催の2021年度「第6回講演会」が21日、奄美市名瀬の同センターであった。青森県八戸市立市民病院院長の今明秀医師が「仲間を増やす」と題し講演。医療関係者、消防、行政などからオンラインを通し約50人が参加。さまざまな制限がある離島での医療で必要となる「仲間」づくりを、実例とともにその方法論を学んだ。
青森県青森市出身の今医師は、同県のへき地医療に従事後、外科医を経て、八戸市立市民病院救命救急センター所長に赴任。研修医救急講習会の全国展開、ドクターヘリの誘致などを行い、全国でも有数の救急医療システムを確立した。
講演では、04年当時に赴任した600床の同院の「一人救急医」として、新たな救急医療体制を構築すべく、当時行った内容を「作戦」として説明。▽現場の看護師の意識革命▽全国展開の講習会による研修医獲得▽病院のブランド化による救急医集め―などが実例として紹介された。
そして、医師、看護師、消防、市民と「仲間」を形成し、ドクターヘリ、ドクターカーを導入した経緯を解説。致死的患者を救った実例を「劇的救命」として挙げた。
また、「いい医師に必要なこと」として「折れない心」「しなやかさ」が大切だとし、日常生活での大小問わない「修羅場の経験」が重要と説明。併せて、医療現場でのリーダー論、マネージャー論を展開。講演後は、参加者たちによる質疑応答の時間も設けられた。
同講演を主催した大島病院救命救急センター救急科の山端裕貴医師は「前任地の八戸では今医師の元、救急医療に従事していた。4月から赴任する与論島では、救命救急とは異なる緩和ケアなどにも携わると思うが、改めて離島での救命救急の在り方を、参加者たちと学べて良かった」と話した。
座長として参加した同センター長の高間辰雄医師は「奄美と八戸は(へき地などの)地理的共通点がある。いい組織を作る、いい人材を集めることは、奄美の救急医療が抱える至上命題。地域・へき地に根差していく若手の医師たちからの積極的な質疑応答に、心強さを感じた」と語った。