県議会代表質問

台湾有事「平和的解決を」
自宅療養者 避難、専用は設置されず

 3月定例県議会は25日、引き続き代表質問があり、県民連合の前野義春議員=鹿屋市・垂水市区=、公明党の森昭男議員=鹿児島市・鹿児島郡区=が登壇。ロシアによるウクライナ侵攻で国際的な緊張が高まる中、台湾有事および中国による台湾進攻を想定した日米による敵基地攻撃能力保有への所見を求める質問があった。塩田康一知事は「本県は中国および台湾に地理的に近く、特に南西諸島に多くの離島を有している。台湾をめぐる問題については、政府において外交努力により平和的な解決が図られるよう努めていただきたい」と述べ、平和的な取り組みを注文した。

 現在の安全保障環境から国は、南西地域の防衛体制強化が喫緊の課題とするとともに、新たな国家安全保障戦略、防衛大綱、中期防衛力整備計画策定のプロセスを通じ、いわゆる敵基地攻撃能力を含めあらゆる選択を排除せず現実的に検討するとしている。知事は「防衛、安全保障政策は国の専管事項であり、引き続き国会等の場で幅広く議論が行われることが重要」とした上で、「県としては、国は防衛、安全保障政策等を進めるにあたっては住民の間に不安や懸念が生じることがないよう十分な説明責任を果たす必要があると考えている」と述べた。

 南太平洋・トンガ沖の海底火山で大規模噴火が発生し、奄美群島などに津波警報が発令された際、避難手段・場所など課題が示された。津波災害時の避難場所の確保状況について橋口秀仁危機管理防災局長が答弁。それによると災害対策基本法に基づく緊急避難場所が現在34市町村で1014カ所、津波避難ビル等が昨年4月現在13市町125カ所指定されている。

 新型コロナウイルス感染者で自宅療養者の避難所の確保状況について橋口局長は「自宅療養者の避難については、国の通知において宿泊療養施設に避難させることを原則とし、宿泊療養施設に避難が困難な場合、一般の避難所に避難させた後、速やかに宿泊療養施設への入所調整を行うこととされている」と説明。「感染者専用の避難所は設置されていない」とした上で、自宅療養者が一般の避難所に避難した場合には▽避難スペースを別の建物とする▽同一する建物となる場合、動線を分け、専用の階段スペース、トイレを確保する―ことが必要とした。

 新型コロナ感染拡大に苦しむ弱者対策への予算措置・相談体制も取り上げられた。谷口浩一くらし保健福祉部長は答弁で「2022年度当初予算では生活困窮者に対する自立相談支援等に要する経費として約1億4千万円を計上している」と説明。相談体制は、県内で33の自立相談支援機関が相談窓口を設置し、包括的な支援を実施しているとした。